小説・2

BL二次創作&創作。18歳未満の方はお戻りください。無断転載厳禁です。
「組み合わせ……ですか?」
「ああ……。まあ、本当に思いつきの段階で確証はないのだが。間違っていたとしても特に不具合はないと思われるのでな。とりあえず、思いつきでも何でも実行に移してみて、それで駄目であればまた別の手段を取る……、と言ってもそうそうのんびりしている時間はないのだがね」
「そう……ですね。のんびりしてたらボク達魔女の呪いで死んでしまいますから……。少しでも可能性があるのなら、手あたり次第でも何でも試してみるべきですね」
アルフォンスは自分を納得させるように何度も何度も頷いた。無駄な手段を取っていては多分、時間切れになる。けれど、アルフォンスには魔女に対抗する手段など何も浮かばない。思いつきでさえ皆無だ。ならば、確証が無くともロイの提案に乗って動いてみるしかないのではないか、と半ば無理矢理に自身を納得させていった。
本当なら、確実な方法を取りたい。だが、確実な方法などわからない。魔女を呼び出す方法なども、だ。
ロイの言う『釣り』で本当に魔女が現れるのか。現れたとして何をどうするのか。皆目見当もつかないのだ。
「それで、ですけど。つまりは兄さんと殿下が二人きりで居れば魔女が現れるかもしれないということですよね。それからボクも兄さんと運命が重なっているのであれば、ボクとボクの運命の相手も二人きりで居ればこちらの方に魔女が現れる可能性もある。けれど、僕の運命の相手は見つかっていないので、そちらのええと、ホークアイさん、がその代理……ということで、ここまではいいですか?」
「ああ」と短く答えたのがロイで、ホークアイは小さく「リザでいいわよ」と笑顔を見せた。
アルフォンスは「ありがとうございます」と答えて、軽く頭を下げる。
「それから、どうするんですか?魔女が現れなかったら次の策と考えなければならないのはわかりますけど。魔女が本当に現れたら、何を、どうするんですか?」
問いかけるアルフォンスにロイは苦笑して答えた。
「それが問題でね……。魔女が何を望んでいるのか。何故呪いなど無関係な君たちに振り撒いたのか……。それにより対応が違ってくるんだよ。魔女に出てきてもわねば対応策も考えつけないのだが、出てきたところで臨機応変に、というカンジでね」
「……臨機応変っていうより行き当たりばったりで何とかしてくれってことですかそれ」
「ああ、不甲斐ないがね。書物もこれ以上は調べようもないというほどに調べきっただろう。リゼンブールの魔女たちからも当時のことを知る者たちから色々と話は聞いた。そこからの推測はいくらでも考えることは可能だが、空虚な妄想ばかり繰り広げて居ても仕方がない。欲しいのは魔女の本音だ。彼女が何を望んでいるのか。呪いを解消するためにはどうしたらいいのか……。それを魔女から引き出さねば、君たちは死ぬ。もしかしたら、この私も……な」
ロイは一同をぐるりと見渡した。
「不確実な手段かも知れんがやるしかあるまい。明日一日中私はエドワードと二人きりで過ごす。アルフォンス、君はホークアイと共に行動したまえ。ハボック、お前はホークアイとアルフォンスの護衛として陰からつき従え。ブレダは私の方だ。ヒュリーとファルマンは連絡係をしてくれ。私の方に動きがあれば、ホークアイに即座に伝える。ホークアイ達に何かあれば同様にすぐに私に伝えて欲しい。いいかね?」
「了解」
「わかりました」
そう皆が返事をした中で「ううううう」と一人だけエドワードが唸っていた。
ロイと、一日中二人きり。
落ち着いた息がまた荒くなりそうだ。
どうしようどうしようと、それだけが頭の中をぐるぐると回る。
嫌ではない、とは思う。
けれど、ロイと二人きりで過ごすなんて……。
エドワードは何かを言おうとして、けれど喉の奥が詰まったようで何も言葉が出ないままでいた。
「では、殿下。先ほど申し上げました通り、未処理の書類にサインをお願いいたします」
ホークアイの言葉に、ロイは素直に頷いた。
「ああ、可及的速やかに処理させてもらうとも」
「では、すぐにご用意いたします」
「頼む。ハボック達も通常の業務に戻ってくれ。明日からはこれまで以上に魔女対策に奔走することになるからな」
敬礼をして、ホークアイ以外のロイの部下たちは皆、部屋から出ていった。ホークアイはてきぱきと書類を優先順位にならば変え始めていた。
「ええと、ボク達は……」
明日からはともかく今日はどうしようかと思わず首を傾げるアルフォンスだった。
「調べられることはもうなさそうですし……。王宮内歩きまわってみてもボクの運命の人とばったり出会う確率は低そうですし……。おかしいなあ、殿下の近くにボクの運命の人もいるはずだったのに……」
「まあ、今日は君たちものんびりと過ごしたまえよ。明日からは忙しくなる」
「いえ、命がかかっていますからそうそうのんびりなんて出来ません。カードにでも聞いてみれることでもあればいいんですけど……」
後半の言葉はアルフォンスの独り言だった。それに対してエドワードがはっと思いついたように勢い込んだ。
「そうだよアル。お前のカードにきけねえの?『運命の相手が誰か』ってさ」
「兄さんってホント魔法のコトあんまり知らないよね。このカードはなんでもこたえてくれる便利な道具じゃないんだよ。聞くには法則ってものがちゃんとある」
「わーるかったな。どうせオレにはそっち方面の才能はねえよっ!」
「才能っていうのならボクにそれくらいわかるくらいの才能があればよかったんだけどね。不確定な事象を教えてもらえるほどボクにもカードを繰る才能はない」
「あ、じゃあ、わかってることから確定してみればいいじゃねえの?とりあえず、ええとホークアイさんだったけ?明日アルと一緒に居る人。その人が運命の相手かどうか、カードに聞くのは出来るか?イエスかノーで答えられるやつだったら……どう、かなって……、」
アルフォンスが目を見開いてエドワードを見た。
「兄さんすごい冴えてるっ!そーだよ、何も王宮内歩きまわらなくても見つかるかも!」
「少なくとも知ってる人間が運命の相手かそうじゃねえのかくらいはわかる……よな?」
「うんっ!じゃやってみるっ!」
アルフォンスはカードを取り出してそれを手早く切りそろえた。
「ホークアイ……さ、ええとリザさんが、ボクの運命の相手かどうか……」
青い焔のような光がアルフォンスの札から放たれる。そして手を触れても居ない札が一枚、また一枚と宙に浮く。
ホークアイもロイも黙ったまま興味深くアルフォンスが繰るカードを見つめた。
が、そのカードは何も目立った動きをしないままに、唐突にその青い焔を消した。
「……違う、と出ました。リザさんはボクの運命の人では無いようです」
「あら……」
ちょっと残念ね、とホークアイは笑った。
「殿下の近くにいる人間のハズなんですけどね……リザさんじゃなかったか」
アルフォンスも少しだけ、残念そうであった。
「じゃあ、ハボックさんとかブレダさんとかええと今日知り合った人とか片っ端からカードに聞いてみますね」
次々に、アルフォンスはカードを繰る。青い光はそのたびに消える。
何度も何度も繰り返しても、誰に対して運命を問いかけても、カードが答えるものは『ノー』であった。
「ええ……っと、これでボクがこの国で知り合った人、ほぼ全員なんだけど……」
「アルの、運命の相手って、いねえのか……?」
徒労に終わった疲れから、がっくりと肩を落とすアルフォンスを、エドワードは心配げに見やる。
「アルフォンス、君、今『ほぼ全員』と言ったな?」
口をはさんだのはロイだった。
「ええ、まあ……」
「何故、『全員』ではなく『ほぼ』なのかね?」
ロイは言葉も鋭く問いかける。
「可能性を調べるのならば漏れなど無くせねばならんだろう?」
「そう……なんですけど、この国の人でボクが知り合った人。殿下の側にいる人。その条件であとボクの運命の相手かどうかカードに聞いてないのは女王陛下とかヒューズさんとかあとロイ殿下ご自身とかですよ?その三人はあり得ないような……」
「あり得ないかもしれんが確認作業だ。やって見たまえ」
「はあ……そうですね、」
仕方なしに、アルフォンスはカードをもう一度切りなおした。
そして。
淡い光だったはずのそのカードの焔が、目も眩まんばかりに輝いた。
「う、わっ!」
「え……っ!」
宙に浮く、一枚のカード。
「ま、まさか……、嘘だろう?」
アルフォンスは恐る恐るそのカードに手を伸ばす。
カードを眺めて、茫然と呟いた。
「ボクの……運命の、相手って……」
信じられない、と。手にしたカードを凝視する。
「なあ、アル……。そのカードの意味って何だよ?」
運命の相手が見つかったと思うが、エドワードにもロイにもホークアイにもカードの意味はわからない。エドワードとロイにはそもそも魔道の才が無いし、ホークアイにしても使う魔法の種類が違うからして、アルフォンスのカードが示す未来の意味はわからない。
「なあ、アル……?」
エドワードがもう一度、アルフォンスに声をかける。
アルフォンスは茫然としたまま呟いた。
「ボクの運命の相手も……、ロイ・マスタング殿下って、カードが……」

運命の相手がロイ・マスタング。
エドワードの相手もそしてアルフォンスの相手も。
そう、アルフォンスのカードは告げてきた。

「嘘、だろう……?」
「ボクのカードは嘘なんてつかない……」

衝撃で、何も考えられないエドワードとアルフォンスであった。












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