小説・2

BL二次創作&創作。18歳未満の方はお戻りください。無断転載厳禁です。
ロイ・マスタングおよびエドワード・エルリック暗殺計画。

そんな予告状に今更驚く繊細な神経の持ち主は、この執務室の中には誰一人としていなかった。
だが、予告が届いた以上、形だけでも警戒だけは必要で。
「というわけでエドワード君とアルフォンス君は当面の間大佐の家で暮らしてもらいます」
ホークアイによってそう宣言されたのだ。エドワードといえばそのホークアイの言葉に苦虫をつぶしたような顔を作った。だがホークアイに文句はつけられないのか不貞腐れた態度ではあるが、それでも素直に首をこくりと縦に振った。
「にーさん、そんな顔やめなよ」
弟の咎めるような声も聞こえないふりでエドワードはふいっと勝手に執務室を出て行こうとした。
「鋼の」
ロイが投げたのは家の鍵。エドワードはそれを片手で受け取った。
「……オレら先にアンタの家に行ってるぜ。行くぞ、アル」
不機嫌さを前面に出したその声に、ロイは「ああ」とため息のような返事をした。
――同居など嫌だというのはお互い様だろう鋼の。ここは一つ大人になって短い期間だけでも少しは譲歩しないかね?
そんなことを言ったところで聞きはしないだろう。ロイは半ばあきらめモードに入っていた。

が、しかし。

司令部を後にして、ロイの部屋についた途端、エドワードはにんまりと笑ったのだ。
「ふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふ……。暗殺計画か。誰だそんな素敵計画立てたヤツ。ふっふっふっふっふっふ。さあさっさと出てきやがれ。このオレ様が直々にっ!」
「にーさーん。どうどう落ち着いて」
「感謝の言葉でもかけてやるっ!はーっはっはっはっ!すばらしい計画をありがとう犯人達よ!ふはははははははははははは」
アルフォンスはげんなりとした。暗殺計画の予告状。それを心の底から喜んでいるエドワードに目眩がする。……鎧の身体ではする気がする、だけではあるが。
「ここがっ!ここが大佐の家かっ!わーっはっはっは!ここで暮らせるとはなんという僥倖っ!なーアル、アイツ帰ってくるの遅いよなっ!今のうちにクローゼットとか覗いておいてパンツの一枚くらい盗んどいても構わねえよな?あ、それとも大佐の枕にダイブしてアイツの匂いとか嗅いじゃおっかなーv」
がっくりと、げんなりと。それ以外のどんな言葉があるというのだこんな兄に。アルフォンスは怒りと辛さと呆れと言うような脱力感と倦怠感がミックスされた感情に襲われながら、自分の運命を呪いまくった。
兄さんが、実は大佐のこと好きなのは知りたくないけど知ってます。ええ知りたくなかったんですよボクはっ!ついでにさっき、執務室ではしかめっ面しておかないと笑いが止まんなくなってどうしようもないからだってことも、嫌ってほどわかってたよああもうこんな兄嫌だっ!大佐の前では隠すクセにホントのところは朝から晩まで大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐ってうるさいくらいだもん。だけど頼むから犯罪者になることだけはやめてほしい。とか言ってもボクの言葉なんてもう兄さんの耳には入らないよね……。
「ねえ兄さん。まさか今回の暗殺計画の予告状って兄さんの自作自演じゃないよね……」
だがクローゼットを開き、どれを盗もうかなっとばかりの浮き浮きしたエドワードには、そんな弟の懸念などほんの少しも聞きはしなかった。
「なーアル!コレ、これかっこいーとか思わねえ?黒だぜ黒っ!おおおおーって気がするよなv大佐ってばパンツにまで気を使ってるいい男だぜ」
へらっと笑いながらいそいそと、トランクの中に仕舞われるロイの下着達。
ごめんなさい大佐とアルフォンスは嘆くが致し方ない。

この暗殺予告状がきっかけとなり二人は恋人となってしまったのだ。そこにはエドワードの暗躍、もとい多大なる努力があるのだが。それは余談として置いておいて。
何はともあれ暗殺などを計画し、予告状まで差し出してしまった犯人グループは、そんな恋人達に事情も知る由もなくきっちり病院送りにされたのであった。

‐終‐
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