小説・2

BL二次創作&創作。18歳未満の方はお戻りください。無断転載厳禁です。
『借りっぱなし、じゃ、嫌なんですけど。byエドワード・エルリック♪』



国家錬金術師は高給取りだ。
そして私は大佐の地位にある軍人である。こちらも給料はかなり高い。
……まあ、危険手当込みの金額と考えれば軍人など薄給と言えなくもない。最前線でテロリストや犯罪者と戦うという危険と己の命を値段に換算すれば、一般の他の職業に比べれかなり安いと思われる。しかも24時間フル活動。休暇先から最前線へ呼び付けられるのもしばしばだ。高級取りで当たり前だ。
家も、軍から支給された高官用の住まいであるからして家賃などかからない。
現状、扶養すべき妻子もいない。
デートの相手に貢ごうが、せめてもと私服に金をかけようが、銀行の残高などは増える一方だ。残高など確認してはいないが、きっと今軍をやめたところで一生食うに困らない程度の預金があるだろう。

だから、私にとって520センズなどははした金のようなものだ。
べつに、貸しておいたところで懐など痛まない。

だが、借金は借金だろう鋼の。
トイチ、などという言葉もあるからして、利子分くらいはそろそろ払ってもらいたいものだな。
別に金で払えなどとは言ってはいないが。
「そーんなこと言ってもさあ……。オレが520センズ借りっぱなしなのは、大佐の、せい、じゃんかよ。俺だってさっさと返してぇっつーの」
息荒く、鋼のが答えた。
「鋼の、私は既に『大佐』ではなくて『少将』の地位にあるのだが?順調に出世を果たしているだろう!」
「んー……、でも約束は『大佐が大総統になったら金返す』だろ?オレだって返したいからずー……っと財布ん中には520センズくらい入ってるっつーのにさあ。今だ借りっぱなしなのはアンタのせいっ!」
……ばんばんばんと、鋼のは私の執務机を思い切りたたく。だが別に怒っているわけではない。
「まあいい。今日こそ利子分を果たしてもらうぞ」
「えー……なんかいや―な予感がすんだけどー?」
何が嫌な予感だ。君の声は私をからかうように笑っているのだが?
「いい加減にエンゲージリング程度のもの受け取ってもらいたいと、まあこれまで何度繰り返したかわからない話を利子にかこつけてせざるを得ないのだがね」
ああ情けない。
こんなふうにプロポーズを持って行くなんてロイ・マスタングの沽券にかかわる。
だが、なりふりなど構ってはいられない。
これまで3度ほど鋼のに指輪を渡し、そしてそのたびに返却されているのである。
私の机の引き出しの中にしまわれ続けているパッケージや掛けられているリボンなどが少々よれてしまってきているのだ。
はあ、とため息をつきたくもなる。
そんな私のため息が肌にかかったためにくすぐったそうに身をよじって、それから鋼のはくすくすと私ながら「アンタも懲りねえなあ……。そんなにオレにこんなものを嵌めたいわけ?ユビワ、なんかじゃないもんをさー、こーやって咥えてやってんだからそれで満足しろっつーの」などと言うのだ。
もちろんだとも。
指輪もそれも共に嵌めさせてもらおうではないだろうではないか。というよりも、何故受け取ってくらないのか、その方がわからない。
「なあ、利子ってさ、オレがアンタに支払うべきものなんじゃねえの?オレがなんかもらってどーすんだよ」
「利子にかこつけて結婚を迫っているのだとわかっているのだろう?わざと話を誤魔化すな鋼の。……まあ、金など受け取っても仕方がないのだがね。私は高給取りだ。君一人養っても余りあるほどの預金もある」
「いやアンタの給料なんかどーでもいいってか。借金してんのはオレ、利子をアンタに支払うのもオレ。なのになんだってまあユビワまで頂戴するんだよって真っ当に聞いてんじゃねえか。……なあ、オレってばアンタにめちゃめちゃ貢がれてんのじゃねえかよ?服は買うわ食事もおごるわしまいにゃユビワまで贈りますーってかよ」
「貢……とはなんだね君は。恋人にプレゼントをして何が悪い。デート代は私が当然持つべきだし、服だって私が君に着せたいから贈っただけだ。指輪は私の気持ちだと言っただろう。一生を君と共にしたいと、結婚をしてくれと今まで何度も何度も……。こんな借金だの利子分だのと言い訳をつけて君に無理矢理受け取らせなければならない私の心境も考えて欲しいものだがね」
……何年付き合っていると思うのだ我々は。
将来を誓ってもおかしくない。
というかもう結婚くらいしていてもおかしくない付き合いの長さなのだが。
「好きだ」「オレも」と両想いになって、そのまま少年に対する淫行罪適用とされるかもしれないがそんなものは鋼のの魅力の前には無意味だと何とか言いながら、即座に肉体関係も結び、そのまま恋人関係は良好のハズだ。
いや、良好だろう。
鋼のとて私との関係を拒んではないはずだ。
何せ、今まさに、その良好な関係の、とある行為が真っ最中だからして。
などと婉曲に言う必要もない。
セックスの真っ最中なのだ我々は。
数え切れないほど何度も何度も繰り返してきた愛情表現進行中なのだ。
今、既に鋼のは私のモノを咥えこんで、自分から腰を揺らしているくらいなのだ。
キスも、セックスも拒まないというのに私からの指輪は受け取らないとはどういうことだと問い詰めたい。
問い詰めたいのだが……そのたびに「まあまあそれはそのうち」などと笑って誤魔化してきたのだ鋼のは。
「あー……、ちょ、そこ……」
「わかっている。ココだろう?」
背中から突き上げてやれば、鋼のの背中が跳ねた。
私の執務室の机に突いている両の腕が震えている。
「ん、んん……っ、あ、ぁ……」
震えるのは鋼のの腕だけではない。深々とその細い身体を貫き、ガクガクと揺さぶり、私の硬い先端で抉るように奥まで突きあげれば、腰も、声も、鋼のの全てが震えるのだ。
歓喜を持って。
もっと欲しいという欲望のままに。
「あぁあ……」
「く……っ、少し力を抜け……」
「む、り……、あっ、そこ、い……ぃ…」
鋼のの中はキツくて熱い。内壁の粘膜が、ぴっちりと私の昂ぶりを包み込んで離さない。
嫌がっているはずなどない。
寧ろ、私との行為は鋼にとっても至福なのだろうと推察される。
「なあ、鋼の……」
今日こそは指輪を受け取ってもらうかもしくは拒否する理由をきかせてもらう。
「あ、あぁ……、も、ちょっと、集中しろよ……、そこ……もっと……」
とりあえず、話はあとということらしい。仕方ない。私とてそろそろ限界に近い。とりあえず、私も鋼のの奥を突きあげる速度を増した。深く、浅く、繰り返す抜き差しに、腰の奥からぐずぐずに溶けていくような錯覚を覚える。
「あ…っ…あ、んん…っ」
声が、一段と高くなる。
「く……、」
息が荒い。
私のも、鋼のも。
思考回路も乱されて、プロポーズや指輪のことなど置いておいて、とにかく鋼ののこの熱い身体の中に私のモノを吐きだしたいと、それだけしか考えられなくなっていく。
「ひぁ…っ、あ、あ、もういく……」
「ああ……私、もだ……」
一際強く突きあげれば、膨れ上がった鋼のの欲望が爆ぜた。中が、ぎゅっと締まるのに呼応して、私の熱塊も震え、そしてその熱を全て鋼のの中にと叩きつけた。


「それで鋼の。何故私からのプロポーズを拒み続けるのかね?」
熱い身体を床へと転がし、腕枕をとりあえずしつつ私は性懲りもなく聞いてみる。
「いやぁ、ほら、オレアンタに借金あるわけじゃん?」
「まあ、520センズだがね」
「んでもって『借金のカタに嫁に行く』とかさー『借金を体で支払う』って感じなのが嫌だからさー」
「はあ?君、何を言っているのかね?」
「借金返済して綺麗な身体で嫁に行きたいからな。やっぱ結婚する以上は対等な関係で居たいっつーわけだ」
「そ、それが、私のプロポーズを拒み続けてた理由……かね?」
「だーって借りっぱなしっつーのは嫌だからさー」
がっくりと項垂れてもいいだろうか?
いや、よくない。
奮起すべきだ。
それがどうしたそんなものどうでもいいから一緒に住もうっ!と言えるのならばよかったのに。
「だからさー。アンタがちゃんと約束通りに大総統になって、それからその指輪受け取ってやっからそれまで大事にしまっとけ?」
なあ?とにっこり笑顔を向けられて、誰が逆らえるというのだ誰が……。
「まー、アンタがよぼよぼのじーさんになってから借金返済っつーカンジになっても大丈夫。ちゃーんと一生愛してやるからさ」
嬉しいのか悲しいのかわからないがまあとりあえず。
奮起すべきだ。
ただし、肉体的に奮起してやろう。
引き攣りながらも「愛しているよ鋼の」とだけ囁いて、床の上にて第二ラウンド開始。
……鬱屈した思いは全て鋼のの身体の奥に叩きつけてやるともっ!

そうして私はこれでもかというほどに鋼のの身体の奥に猛る思いをぶつけ続けた。

終わり





某S様の素敵同人誌を読んで妄想したSSでございます☆

終わり!
スポンサードリンク


この広告は一定期間更新がない場合に表示されます。
コンテンツの更新が行われると非表示に戻ります。
また、プレミアムユーザーになると常に非表示になります。