小説・2

BL二次創作&創作。18歳未満の方はお戻りください。無断転載厳禁です。
「……おい、臨也」
「なにシズちゃん」
不機嫌そうっていうか不機嫌そのものの口調と苦虫まで潰しまくった顔で、シズちゃんは俺を睨みつける。まあ、ね。不機嫌じゃない顔向けられるほうが珍しいんだけどっていうかご機嫌な笑顔なんて向けられた日には脳が腐ったのかなって思うからこれが常態だと言えないこともない。だけどさあ。
「うぜぇ暑いひっつくな」
そりゃあねえ本日不快指数100%。大雨降っている割に気温が高くて嫌になっちゃうしまだ梅雨入りには早い時期なのにべっとりねっとり纏わりついてくるような空気だし、窓なんか開けても風は微風。逆に雨が吹き込んでくるから不快さ倍増。そういうわけで窓なんて締め切っているわけだけど窓なんか閉めてたらサウナもかくやって状態だ。やっぱりねぇ、こんな天気の時にシズちゃんのボロアパートなんかに来るんじゃなかったとちょっと後悔。でも仕方がないんだからシズちゃんもちょっとは我慢してくれないかなあとか思っているっていうのにひっつくなって言った途端に俺に蹴りと入れるなんて酷いじゃない。あのさあ暑いっていうならクーラーでも入れればいいでしょって床に転がってたリモコンをオン。……あ、あれ?
「ねえシズちゃん。リモコン電池切れ?」
冷房入れようとリモコンを何度押しても何も動かない。
「あー……、ぶっこわした」
「リモコンを?」
「クーラーのほうだ」
やっぱり来るんじゃなかったなあ!こんなに蒸し暑くって不快だっていうのにクーラー壊すかなシズちゃんてば馬鹿じゃない?ホント無駄に力余ってるよね!
俺は役立たずのリモコンなんて投げ捨てて、シズちゃんの上に圧し掛かった。
「……おい」
「なんだよシズちゃん」
さっきの発展形の会話というか単なる名前の呼び合いをもう一度繰り返す。
「俺はひっつくなって言ったんだが?暑いしうぜぇしサイテーだろ」
「そうだね暑いし蒸すしクーラー壊れてるしサイテーだもんね。これもみんなシズちゃんが悪いんだよ雨だし暑いしクーラーないしっ!」
不快なことはみんなシズちゃんのせいにすればちょっとだけ気分はいいかもしれないけど、まあそんなことしても蒸し暑いのには変わらないんだから俺は俺で建設的な作業に走る。
「……俺のせいかよ」
シズちゃんのシャツのボタンをぶちぶち外して、ベルトも取ってからキスをする。
「どーせ不快だし汗かくし。だったらいっそ極めたほうがまだマシってもんだよね?」
肌蹴た胸にキスを一つ。
「そーゆーことだから責任取ってね」
どうせ暑くて鬱陶しいのなら、汗まみれでぐちゃぐちゃになればいい。実に建設的な思考だろうと俺はにっこりとシズちゃんに笑う。はあ、とため息をシズちゃんはこぼして、それでも俺をベッドに放り投げる。
「痛いなぁ。もうちょっと優しくしてくれてもいいだろう?」
「……うぜぇ。オマエもう黙れ」
圧し掛かれてて口が塞がれたから、折り重なった身体に足を搦めて誘うように笑う。


後はもう暑さも全部吹き飛ぶような、不快極まる快楽に突入する。本能のまま、そのままに。


‐ 終 ‐






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