小説・2
BL二次創作&創作。18歳未満の方はお戻りください。無断転載厳禁です。
ちょっと気になるな、とか。
ちょっといいかも、とか。
そんな程度ではなく。
見境なく嫉妬するほど心魅かれる。
それを恋と言うのではないのか。
――れーせーになれオレ、れーせーに。今のはなんかわかんねえけどちょっとムカついただけで嫉妬なんかじゃ……。
無理矢理、己の言い聞かせようとするエドワードだったが己の心は己が一番よくわかる。
ちょっとムカついただけ、など嘘だ。
自分の心を誤魔化しているだけだ。
あからさまに、魔女に嫉妬した。
ロイが、自分にではなくこの魔女に心魅かれたのではないかと疑った。
冷静に考えれば、そんなことなどあり得ないというのに。
――うわぁああああ、こ、この期に及んでつか今更オレはなんで……っ!
どうせこんな気持ちになるのなら、一番最初の、そう、出会いがしらにプロポーズをされた時。あの時に一目惚れでも運命でも何でもいい、その時に、恋に堕ちていれば恙無くコトが進行しただろうに。
プロポーズなど蹴っ飛ばした。
恋愛感情など欠片もないが魔女の呪いを解くためなら身体くらい差し出すぜとまで告げもした。
――イ、イマサラだろう今更っ!なんで今更惚れるっ!つか惚れたんかオレっ!
悶々と、インナーワールドで苦悶しているエドワードに誰も注意を向けなかったのが幸いかそれとも不幸か。
とにかく、エドワードの意識の外で、事態は淡々と進行し。
エドワードの意識は銀河の果てまで何十往復もしつつ行きつ戻りつを繰り返し、そしてエドワードは勝手に自爆した。
自爆。そう、自爆だ。
エドワードは力の限り叫んでしまったのだ。
「とにかくアンタの事情は知らねえけど、これは駄目っ!コイツはオレのだってそう決まってんだっ!」
両手を広げて、魔女の前に立ちはだかり、そして、金色の大きな瞳で真っ直ぐに魔女を見る。
「悪いけど、諦めて。コイツはアンタにはやらない」
ゆっくりと、魔女がエドワードを見る。
不思議なものを目にするように。
ロイが、エドワードを見る。
驚いて。
そして、心のどこかでは歓び、しかし、今何故この状況下でエドワードがいきなりロイを魔女にやらないなどと叫び出したのか、その理由がわからず多少の戸惑いもあり。
どんな表情を作っていいのやらわからず少々困惑して。
ホークアイは全く動じず、ちらと一瞬だけエドワードに目線をやったが、魔女に対する警戒は解かず。
アルフォンスは「空気読まないにもほどがあるよにーさん」と、ぼそと呟き頭に手を当てた。
そう、エドワード以外の状況はと言えば。
まさに魔女との対峙の真っ最中だったのだ。
それも、佳境。
そう、ロイは巧みに、魔女から情報を引き出すことに成功しつつあった。過去になにがあったのか。「何故」と問う魔女に、何らかの答えを提示し得れば魔女の呪いを解く第一歩にはなると考えて。
それは、正しく報われようとしていた。
かなり、詳しいことがわかった。
歴史書を紐解くより、それから推理を張り巡らせるより。
当事者からの正確な証言。
何よりも魔女が何を望んでいるのか、どうしたいのか、何をしたいのか。
ロイは注意深く魔女との対話を進めた結果、わかったことそれは、
魔女が、ロシュナという恋人に裏切られたこと。
ロシュナは魔女に結婚の約束をしたのちに、魔女を裏切り、美しい金の髪を持つ別の相手と恋に堕ちたこと。
それを告げられて、魔女はショックを受けた。
ここまでは、単なる三角関係。
三文小説にも現実にも類似例など山ほどある、世の中によくある事象の一つでしかない。
違ったのはただ一つ。
魔女が、それまで自分でも知らなかったのだが多大なる魔力を有していたということ。
恋人に裏切られたショックでその魔力が暴走し、そして。
ロシュナが愛したその美しい金の髪を持つ相手を、その魔力で一瞬のうちに殺してしまったということだけだ。
銃器やナイフなどで自覚的に殺害したのではなく。
無意識の魔力で、見えない空気の力で、ずたずたに、切り裂いた。
血の海と、そこに浮かぶ肉片、骨、内臓。
鉄のような匂いが鼻腔を刺激しても、目がその光景を捉えても、それが何を意味するのかわからなかった。
奇妙に、ぽかんとしたのち震える声で「何をしたのだ」とロシュナに問われても、魔女は自分が何をしたのか分からずにいた。
私が何かしたのではない、とそれを告げようとロシュナに向き合ったところ、今度はそのロシュナも、同じく肉片となった。
魔女の、意志ではなく魔力の暴走。
そして、暴走は混乱した魔女が他の魔道士たちに倒されるまで続いた。
何百人の犠牲。いや、数千人を超える犠牲が出たのかもしれない。
魔女が、屠られるその瞬間、魔女が最後に口にした言葉が「どうして……」だった。
そう、魔女は知りたかっただけだ。
何故恋人が自分を裏切って別の人間を愛したのか。
「黒い髪がいけなかったの?金色の髪が美しいの?私のどこがいけなかったの?悪い所があるなら直すわ。そうしたらあなたはもう一度私を選んでくれるの?ねえロシュナ、どうして?どうして私を選んでくれないの?どうして私を捨てるの?」
魔女が知りたいのはたったこれだけ。
自分を捨てた恋人がどうしたら自分のもとへ帰ってくるのか。
どうして自分を選んでくれなかったのか。
何故自分を捨てて、その金の髪の相手の手を取るのか。
どうして、と問う。
けれど、その答えは返ってこない。
何故なら、その答えを発する相手を無意識の力で殺してしまったから。魔力の暴走で、自分の意志とは無関係に、単なる肉と血にしてしまったから。
そして、魔女は狂った。
恋敵を、元恋人を、殺してしまっただけではなく。
その魔力の暴走で何人もの無関係な人間を結果的に殺し、そして魔女を抑えようと何人もの魔道士たちが魔女を攻撃し、そして本能的な自己防衛からそれらの魔道士たちをも倒し続けて。
おそらく、魔女の有している魔力が強大過ぎただけなのだ。
魔力など持っていなかったら単なるよくある三角関係の結末。
魔力を有していても、一般的なレベルの力であれば、少数の犠牲の上で収まっただけのこと。
だが、そうではなかった。
暴走し、混乱し、狂いを生じた魔力。
制御など不可能で。
魔女を、肉体的には殺害せしめた後も、こうして魔女の思念は残り、無関係なエドワードとロイにまでその呪いともいうべき災いが降りかかってしまった。
不運、の一言。
そう言ってしまえばそれだけではあるが、あいにくロイもエドワードも無関係な呪いに大人しく殺されてしまうつもりなどない。
冷静に、情報を集め、そして打開策を練る。
そう、ロイは途中までそれに成功していた。
もう少し魔女との対話を繰り返せば、「どうして」「何故?」と繰り返す魔女の思念を昇華させる道も探したせたのかもしれない。
だが。
魔女とロイの対話など意識の外にあったエドワードが叫んだのだ。
「コイツはオレのだ、アンタにはやらねえっ!」と……。
ちょっといいかも、とか。
そんな程度ではなく。
見境なく嫉妬するほど心魅かれる。
それを恋と言うのではないのか。
――れーせーになれオレ、れーせーに。今のはなんかわかんねえけどちょっとムカついただけで嫉妬なんかじゃ……。
無理矢理、己の言い聞かせようとするエドワードだったが己の心は己が一番よくわかる。
ちょっとムカついただけ、など嘘だ。
自分の心を誤魔化しているだけだ。
あからさまに、魔女に嫉妬した。
ロイが、自分にではなくこの魔女に心魅かれたのではないかと疑った。
冷静に考えれば、そんなことなどあり得ないというのに。
――うわぁああああ、こ、この期に及んでつか今更オレはなんで……っ!
どうせこんな気持ちになるのなら、一番最初の、そう、出会いがしらにプロポーズをされた時。あの時に一目惚れでも運命でも何でもいい、その時に、恋に堕ちていれば恙無くコトが進行しただろうに。
プロポーズなど蹴っ飛ばした。
恋愛感情など欠片もないが魔女の呪いを解くためなら身体くらい差し出すぜとまで告げもした。
――イ、イマサラだろう今更っ!なんで今更惚れるっ!つか惚れたんかオレっ!
悶々と、インナーワールドで苦悶しているエドワードに誰も注意を向けなかったのが幸いかそれとも不幸か。
とにかく、エドワードの意識の外で、事態は淡々と進行し。
エドワードの意識は銀河の果てまで何十往復もしつつ行きつ戻りつを繰り返し、そしてエドワードは勝手に自爆した。
自爆。そう、自爆だ。
エドワードは力の限り叫んでしまったのだ。
「とにかくアンタの事情は知らねえけど、これは駄目っ!コイツはオレのだってそう決まってんだっ!」
両手を広げて、魔女の前に立ちはだかり、そして、金色の大きな瞳で真っ直ぐに魔女を見る。
「悪いけど、諦めて。コイツはアンタにはやらない」
ゆっくりと、魔女がエドワードを見る。
不思議なものを目にするように。
ロイが、エドワードを見る。
驚いて。
そして、心のどこかでは歓び、しかし、今何故この状況下でエドワードがいきなりロイを魔女にやらないなどと叫び出したのか、その理由がわからず多少の戸惑いもあり。
どんな表情を作っていいのやらわからず少々困惑して。
ホークアイは全く動じず、ちらと一瞬だけエドワードに目線をやったが、魔女に対する警戒は解かず。
アルフォンスは「空気読まないにもほどがあるよにーさん」と、ぼそと呟き頭に手を当てた。
そう、エドワード以外の状況はと言えば。
まさに魔女との対峙の真っ最中だったのだ。
それも、佳境。
そう、ロイは巧みに、魔女から情報を引き出すことに成功しつつあった。過去になにがあったのか。「何故」と問う魔女に、何らかの答えを提示し得れば魔女の呪いを解く第一歩にはなると考えて。
それは、正しく報われようとしていた。
かなり、詳しいことがわかった。
歴史書を紐解くより、それから推理を張り巡らせるより。
当事者からの正確な証言。
何よりも魔女が何を望んでいるのか、どうしたいのか、何をしたいのか。
ロイは注意深く魔女との対話を進めた結果、わかったことそれは、
魔女が、ロシュナという恋人に裏切られたこと。
ロシュナは魔女に結婚の約束をしたのちに、魔女を裏切り、美しい金の髪を持つ別の相手と恋に堕ちたこと。
それを告げられて、魔女はショックを受けた。
ここまでは、単なる三角関係。
三文小説にも現実にも類似例など山ほどある、世の中によくある事象の一つでしかない。
違ったのはただ一つ。
魔女が、それまで自分でも知らなかったのだが多大なる魔力を有していたということ。
恋人に裏切られたショックでその魔力が暴走し、そして。
ロシュナが愛したその美しい金の髪を持つ相手を、その魔力で一瞬のうちに殺してしまったということだけだ。
銃器やナイフなどで自覚的に殺害したのではなく。
無意識の魔力で、見えない空気の力で、ずたずたに、切り裂いた。
血の海と、そこに浮かぶ肉片、骨、内臓。
鉄のような匂いが鼻腔を刺激しても、目がその光景を捉えても、それが何を意味するのかわからなかった。
奇妙に、ぽかんとしたのち震える声で「何をしたのだ」とロシュナに問われても、魔女は自分が何をしたのか分からずにいた。
私が何かしたのではない、とそれを告げようとロシュナに向き合ったところ、今度はそのロシュナも、同じく肉片となった。
魔女の、意志ではなく魔力の暴走。
そして、暴走は混乱した魔女が他の魔道士たちに倒されるまで続いた。
何百人の犠牲。いや、数千人を超える犠牲が出たのかもしれない。
魔女が、屠られるその瞬間、魔女が最後に口にした言葉が「どうして……」だった。
そう、魔女は知りたかっただけだ。
何故恋人が自分を裏切って別の人間を愛したのか。
「黒い髪がいけなかったの?金色の髪が美しいの?私のどこがいけなかったの?悪い所があるなら直すわ。そうしたらあなたはもう一度私を選んでくれるの?ねえロシュナ、どうして?どうして私を選んでくれないの?どうして私を捨てるの?」
魔女が知りたいのはたったこれだけ。
自分を捨てた恋人がどうしたら自分のもとへ帰ってくるのか。
どうして自分を選んでくれなかったのか。
何故自分を捨てて、その金の髪の相手の手を取るのか。
どうして、と問う。
けれど、その答えは返ってこない。
何故なら、その答えを発する相手を無意識の力で殺してしまったから。魔力の暴走で、自分の意志とは無関係に、単なる肉と血にしてしまったから。
そして、魔女は狂った。
恋敵を、元恋人を、殺してしまっただけではなく。
その魔力の暴走で何人もの無関係な人間を結果的に殺し、そして魔女を抑えようと何人もの魔道士たちが魔女を攻撃し、そして本能的な自己防衛からそれらの魔道士たちをも倒し続けて。
おそらく、魔女の有している魔力が強大過ぎただけなのだ。
魔力など持っていなかったら単なるよくある三角関係の結末。
魔力を有していても、一般的なレベルの力であれば、少数の犠牲の上で収まっただけのこと。
だが、そうではなかった。
暴走し、混乱し、狂いを生じた魔力。
制御など不可能で。
魔女を、肉体的には殺害せしめた後も、こうして魔女の思念は残り、無関係なエドワードとロイにまでその呪いともいうべき災いが降りかかってしまった。
不運、の一言。
そう言ってしまえばそれだけではあるが、あいにくロイもエドワードも無関係な呪いに大人しく殺されてしまうつもりなどない。
冷静に、情報を集め、そして打開策を練る。
そう、ロイは途中までそれに成功していた。
もう少し魔女との対話を繰り返せば、「どうして」「何故?」と繰り返す魔女の思念を昇華させる道も探したせたのかもしれない。
だが。
魔女とロイの対話など意識の外にあったエドワードが叫んだのだ。
「コイツはオレのだ、アンタにはやらねえっ!」と……。
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