小説・2
BL二次創作&創作。18歳未満の方はお戻りください。無断転載厳禁です。
運命の相手。それは一人につき一人なのではないのだろうか?
けれど、アルフォンスのカードの結果はそうではなかった。
エドワードの運命の相手はロイで、アルフォンスの運命の相手もロイだ。
「どういうこと……だよ……」
茫然と、エドワードは呟いた。
胸の中に、何か形容詞しがたい感情が浮かんでくる。そのもやもやのようなものは明確に言葉にはならないのだけれども、「アルフォンスの運命の相手がロイ」だと告げられて、もろ手を挙げて喜んだりは出来なかった。
――アルを、アイツに取られちまうみたいで嫌なのか……?
エドワードは自身に問いかけては見るが、その答えはイエスではなくてノーだ。
――じゃ、オレは何が嫌なんだろう?わかんねえ……。逆なのか?アイツにアルを取られるのが嫌なのか……?
なんなのだろうこの感情は。
さっぱりわからない。
わからないことが何か不快だ。
自分の、心なのに……。と、エドワードは何やら落ち着かない顔つきをしているしか出来なかった。
とりあえず、ロイはどう思っているのかと思い、ちらと目線をロイに向ける。
すると、ロイは「ああ、そうなのか?」と平然としている。
「アンタさ、運命の相手がオレじゃなくてアルってこと、どう思うんだ……?」
「いや、それは違うだろう?アルフォンスのカードは私の運命の相手がエドワードとアルフォンスの二人だと告げてきた。認識は正確に、しておきたまえよ」
「いや、でも……」
エドワード一人がロイの運命の相手ではない。
そう言おうとして、出来なかった。何やら胸の奥で棘のようなものがチクリと刺さった。
「それに、だ。カードが運命をどうこう言ったところで私の感情に変化はない。運命の相手など、私は自分で選ぶ。私が目を魅かれたのは、私にとっての運命の相手はエドワードただ一人。アルフォンスには済まんがね、カードに何を言われようと、運命など私は自分の手で掴んで見せるとも」
気負うことなく普通の口調で告げてくるロイに何故かほっとしたエドワードだった。
――あ、あれ?なんでオレほっとしてんの……?
本当に自分の心がわからない。
「ええと……」
だから、何を言っていいのかもわからないままのエドワードだった。
「そう……ですよねえ。カードが何を告げてこようと選ぶのは自分ですからね」
アルフォンスはほっと安心したような笑顔になった。
「確かに僕のカードは間違わない。だけど、それは一つの結果であって選ぶのは自分ですよね。運命に従うのも、運命に目を背けるのも。……うん、そーだよ。確かに殿下は僕と兄さんの運命の相手かもしれないけど、残念ながらボクは殿下に恋愛感情なんて抱いていませんからね」
ロイはアルフォンスの言に肯定の意を示すように頷いた。
「私も親愛の情は抱いていても君に恋愛感情は持ってはいないな」
「あ、そーなんですか?」
「ああ、そうだとも」
「じゃあ、両手に花状態にはならないですねえ」
お互いに恋愛感情などないとわかっているからこそ、アルフォンスは少々軽口を言ってみた。
「残念ながらね。私はエドワードという花だけを欲しているんだ」
「うわー、殿下ってホント兄さんのコト好きですね。どうしてそんなふうに断言できるほど兄さんのコト好きなんですか?運命の相手だからですか?それとも一目惚れしたからなんですか?」
「……興味本位で聞くものではないと思うよアルフォンス?」
咎めを口調に差し挟みながら告げたロイに対して、アルフォンスは真剣な顔になった。
「運命の相手が殿下とカードが告げたこともちょっと横に置いておいて、基本的な疑問なんです。ボクは……恋愛感情ってものがわかりません。今まで誰かに心を魅かれたことなんて一度もない。そりゃあ小説を読んだりしてますから多少は知識としてはわかりますよ?でも、実感なんて出来ません。『恋に堕ちた瞬間、世界はこれほどまでに美しいものだと気がついた』とかいう文言を読んでも陳腐だなあとしか思えませんし……。恋って、どういう感情なのか。ボクはこの王宮を走り回ってボクの運命の相手を探しましたけど、そんなふうに世界がひっくり返るほどの幸福感を誰かに感じたりはしなかった。今、殿下がボクの運命の相手だと言われても、そんなこと殿下に対して思えません」
「まあ……そうだろうねえ」
ロイは苦笑をした。運命の相手と言われてはいそうですかと幸福になれるのではそれは恋ではない。
「わからないから、知りたいんです。知らないと、運命の相手なんてものに出会ったとしても無意味なんじゃないかなって……」
「……恋というモノは文字通り堕ちるんだよ。目が魅かれてしまって離せない。たとえは悪いがブラックホールに吸い込まれるようなものだ」
「へえ……」
「エドワードとアルフォンスが全力疾走をしているのを見た時私はエドワードに恋に堕ちた。あの時は……二人、一緒に走っていただろう?そして君たちは双子だ。しかし私が心魅かれたのはアルフォンスではなくエドワードだ。実に強烈な吸引力だったよ。エドワードがただ一人輝いて見えた。アルフォンスには悪いが、その時の私に取って君は背景の一つでしかなかったよ」
「うわー、ボク背景ですか」
「ああ、目には入ってはいるが注視などはしていなかった。美しい誰かに心魅かれるというのならばエドワードだけではなくアルフォンスも十分に美しいとは思うけれどね。君たちはよく似ているし。だが、今こうして二人ともが並んで座っている所を見ても気になるのはエドワードだけだよ」
「そーいうもの……なんですか?」
「ああ。美しいから恋に堕ちるのではない。有能だからではない。心が美しいからではない。頭脳明晰だからでもない。金持ちだからでもない。この人でしかあり得ないという直感のようなものだよ。まあ……そうだな、美しく有能で明晰で私のことを良くわかっていて、私が心から信頼している者のを誰か一人挙げろと言われればそれは当然ホークアイということになるが、残念ながらこの感情は恋ではない」
ホークアイは涼しい顔で「恋に堕ちたなどおっしゃられても困ります」とだけ短く告げる。
「理由も理屈もない。条件でもない。私が恋に堕ちるというのは心から相手を欲するということだけだよ。私はねエドワードの気持ちが欲しい。私と同じようにエドワードが私に恋に堕ちて欲しい。好きになって欲しい。……そう思うだけなのだよ」
真摯な目を向けられて、思わずエドワードの身体がビクリと震えた。
「オ、オレ……は、」
顔が赤くなりそうなのを必死にこらえるが、かと言って自分もロイに恋をしています心魅かれていますなどとは決して言えないのだ。
わからないのだ。
エドワードは自分の心が。
――オレ自身の心なのに、なんでオレはわかんねえんだ……?
以前のようにプロポーズをされて、即座に却下なども出来ない。
ただわからないということだけがわかっている。
混乱状態のエドワードにロイは笑いかけた。
「そう緊張しなくてもいいよ。無理強いはしない。無理矢理襲ったりもしないから」
ロイはエドワードだた一人だけに、告げる。
「出来得ることなら君に私を好きになって欲しい。ただそれだけを願っているよ」
そして、エドワードからホークアイやアルフォンスへと視線を向けた。
「さあ、この話はとりあえずこれまでだ。私はまずは仕事を可及的速やかに片付けねばならん。そうだな、ホークアイ」
「ええ、片付けていただかなければ魔女を釣る時間も作れません」
「ああ、すぐ行うとも。エドワードとアルフォンスは明日まではゆっくりしていてくれ」
わかりました、と今度はアルフォンスも素直に頷いた。
「とりあえず、のんびりというよりも何故殿下の運命の相手が兄さんだけなのかじゃなくてボクもなのかってこと、少し考えてみます……。まあ、そう言ってもどうしてもボクはやっぱり殿下に心は魅かれないんですけど……」
「心惹かれてもらっては、私が君をふらないといけなくなるな……」
「あー、まあそういうことになるんですねえ。運命の相手にふられたらどうなるんだろう……。ま、いいかっ!とりあえずボクは魔女に対する対抗策とか恋愛感情ってどういうものなのか考えたりしてみます。それで明日を迎えます」
「ああ」
「じゃ、そういうことで。だらだらとここに居ても殿下のお仕事の邪魔でしょうから、ボク達は部屋に行きますね。では、失礼いたします」
ぺこりと頭を下げて、アルフォンスはソファから立ちあがった。
「リザさん。運命の相手ではないボクですが、明日はよろしくお願いいたします」
「そうね。私も可愛い男の子と公務でデートなんて嬉しいわ。明日はよろしくね」
アルフォンスもホークアイも穏やかに笑いあった。
「じゃ、兄さん行こうか」
アルフォンスはエドワードの腕を取った。エドワードはアルフォンスに引きづられる形でロイの部屋から出ていった。
けれど、アルフォンスのカードの結果はそうではなかった。
エドワードの運命の相手はロイで、アルフォンスの運命の相手もロイだ。
「どういうこと……だよ……」
茫然と、エドワードは呟いた。
胸の中に、何か形容詞しがたい感情が浮かんでくる。そのもやもやのようなものは明確に言葉にはならないのだけれども、「アルフォンスの運命の相手がロイ」だと告げられて、もろ手を挙げて喜んだりは出来なかった。
――アルを、アイツに取られちまうみたいで嫌なのか……?
エドワードは自身に問いかけては見るが、その答えはイエスではなくてノーだ。
――じゃ、オレは何が嫌なんだろう?わかんねえ……。逆なのか?アイツにアルを取られるのが嫌なのか……?
なんなのだろうこの感情は。
さっぱりわからない。
わからないことが何か不快だ。
自分の、心なのに……。と、エドワードは何やら落ち着かない顔つきをしているしか出来なかった。
とりあえず、ロイはどう思っているのかと思い、ちらと目線をロイに向ける。
すると、ロイは「ああ、そうなのか?」と平然としている。
「アンタさ、運命の相手がオレじゃなくてアルってこと、どう思うんだ……?」
「いや、それは違うだろう?アルフォンスのカードは私の運命の相手がエドワードとアルフォンスの二人だと告げてきた。認識は正確に、しておきたまえよ」
「いや、でも……」
エドワード一人がロイの運命の相手ではない。
そう言おうとして、出来なかった。何やら胸の奥で棘のようなものがチクリと刺さった。
「それに、だ。カードが運命をどうこう言ったところで私の感情に変化はない。運命の相手など、私は自分で選ぶ。私が目を魅かれたのは、私にとっての運命の相手はエドワードただ一人。アルフォンスには済まんがね、カードに何を言われようと、運命など私は自分の手で掴んで見せるとも」
気負うことなく普通の口調で告げてくるロイに何故かほっとしたエドワードだった。
――あ、あれ?なんでオレほっとしてんの……?
本当に自分の心がわからない。
「ええと……」
だから、何を言っていいのかもわからないままのエドワードだった。
「そう……ですよねえ。カードが何を告げてこようと選ぶのは自分ですからね」
アルフォンスはほっと安心したような笑顔になった。
「確かに僕のカードは間違わない。だけど、それは一つの結果であって選ぶのは自分ですよね。運命に従うのも、運命に目を背けるのも。……うん、そーだよ。確かに殿下は僕と兄さんの運命の相手かもしれないけど、残念ながらボクは殿下に恋愛感情なんて抱いていませんからね」
ロイはアルフォンスの言に肯定の意を示すように頷いた。
「私も親愛の情は抱いていても君に恋愛感情は持ってはいないな」
「あ、そーなんですか?」
「ああ、そうだとも」
「じゃあ、両手に花状態にはならないですねえ」
お互いに恋愛感情などないとわかっているからこそ、アルフォンスは少々軽口を言ってみた。
「残念ながらね。私はエドワードという花だけを欲しているんだ」
「うわー、殿下ってホント兄さんのコト好きですね。どうしてそんなふうに断言できるほど兄さんのコト好きなんですか?運命の相手だからですか?それとも一目惚れしたからなんですか?」
「……興味本位で聞くものではないと思うよアルフォンス?」
咎めを口調に差し挟みながら告げたロイに対して、アルフォンスは真剣な顔になった。
「運命の相手が殿下とカードが告げたこともちょっと横に置いておいて、基本的な疑問なんです。ボクは……恋愛感情ってものがわかりません。今まで誰かに心を魅かれたことなんて一度もない。そりゃあ小説を読んだりしてますから多少は知識としてはわかりますよ?でも、実感なんて出来ません。『恋に堕ちた瞬間、世界はこれほどまでに美しいものだと気がついた』とかいう文言を読んでも陳腐だなあとしか思えませんし……。恋って、どういう感情なのか。ボクはこの王宮を走り回ってボクの運命の相手を探しましたけど、そんなふうに世界がひっくり返るほどの幸福感を誰かに感じたりはしなかった。今、殿下がボクの運命の相手だと言われても、そんなこと殿下に対して思えません」
「まあ……そうだろうねえ」
ロイは苦笑をした。運命の相手と言われてはいそうですかと幸福になれるのではそれは恋ではない。
「わからないから、知りたいんです。知らないと、運命の相手なんてものに出会ったとしても無意味なんじゃないかなって……」
「……恋というモノは文字通り堕ちるんだよ。目が魅かれてしまって離せない。たとえは悪いがブラックホールに吸い込まれるようなものだ」
「へえ……」
「エドワードとアルフォンスが全力疾走をしているのを見た時私はエドワードに恋に堕ちた。あの時は……二人、一緒に走っていただろう?そして君たちは双子だ。しかし私が心魅かれたのはアルフォンスではなくエドワードだ。実に強烈な吸引力だったよ。エドワードがただ一人輝いて見えた。アルフォンスには悪いが、その時の私に取って君は背景の一つでしかなかったよ」
「うわー、ボク背景ですか」
「ああ、目には入ってはいるが注視などはしていなかった。美しい誰かに心魅かれるというのならばエドワードだけではなくアルフォンスも十分に美しいとは思うけれどね。君たちはよく似ているし。だが、今こうして二人ともが並んで座っている所を見ても気になるのはエドワードだけだよ」
「そーいうもの……なんですか?」
「ああ。美しいから恋に堕ちるのではない。有能だからではない。心が美しいからではない。頭脳明晰だからでもない。金持ちだからでもない。この人でしかあり得ないという直感のようなものだよ。まあ……そうだな、美しく有能で明晰で私のことを良くわかっていて、私が心から信頼している者のを誰か一人挙げろと言われればそれは当然ホークアイということになるが、残念ながらこの感情は恋ではない」
ホークアイは涼しい顔で「恋に堕ちたなどおっしゃられても困ります」とだけ短く告げる。
「理由も理屈もない。条件でもない。私が恋に堕ちるというのは心から相手を欲するということだけだよ。私はねエドワードの気持ちが欲しい。私と同じようにエドワードが私に恋に堕ちて欲しい。好きになって欲しい。……そう思うだけなのだよ」
真摯な目を向けられて、思わずエドワードの身体がビクリと震えた。
「オ、オレ……は、」
顔が赤くなりそうなのを必死にこらえるが、かと言って自分もロイに恋をしています心魅かれていますなどとは決して言えないのだ。
わからないのだ。
エドワードは自分の心が。
――オレ自身の心なのに、なんでオレはわかんねえんだ……?
以前のようにプロポーズをされて、即座に却下なども出来ない。
ただわからないということだけがわかっている。
混乱状態のエドワードにロイは笑いかけた。
「そう緊張しなくてもいいよ。無理強いはしない。無理矢理襲ったりもしないから」
ロイはエドワードだた一人だけに、告げる。
「出来得ることなら君に私を好きになって欲しい。ただそれだけを願っているよ」
そして、エドワードからホークアイやアルフォンスへと視線を向けた。
「さあ、この話はとりあえずこれまでだ。私はまずは仕事を可及的速やかに片付けねばならん。そうだな、ホークアイ」
「ええ、片付けていただかなければ魔女を釣る時間も作れません」
「ああ、すぐ行うとも。エドワードとアルフォンスは明日まではゆっくりしていてくれ」
わかりました、と今度はアルフォンスも素直に頷いた。
「とりあえず、のんびりというよりも何故殿下の運命の相手が兄さんだけなのかじゃなくてボクもなのかってこと、少し考えてみます……。まあ、そう言ってもどうしてもボクはやっぱり殿下に心は魅かれないんですけど……」
「心惹かれてもらっては、私が君をふらないといけなくなるな……」
「あー、まあそういうことになるんですねえ。運命の相手にふられたらどうなるんだろう……。ま、いいかっ!とりあえずボクは魔女に対する対抗策とか恋愛感情ってどういうものなのか考えたりしてみます。それで明日を迎えます」
「ああ」
「じゃ、そういうことで。だらだらとここに居ても殿下のお仕事の邪魔でしょうから、ボク達は部屋に行きますね。では、失礼いたします」
ぺこりと頭を下げて、アルフォンスはソファから立ちあがった。
「リザさん。運命の相手ではないボクですが、明日はよろしくお願いいたします」
「そうね。私も可愛い男の子と公務でデートなんて嬉しいわ。明日はよろしくね」
アルフォンスもホークアイも穏やかに笑いあった。
「じゃ、兄さん行こうか」
アルフォンスはエドワードの腕を取った。エドワードはアルフォンスに引きづられる形でロイの部屋から出ていった。
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