小説・2
BL二次創作&創作。18歳未満の方はお戻りください。無断転載厳禁です。
誰も、何も言わなかった。
否、言えなかった。
奇妙な静寂の中、魔女がエドワードを見る。
「貴方の、金の髪は、綺麗ね……」
寂しげに、目を細めて。
「は?」
突然の言にエドワードは困惑した。
「コイツはオレのだ、アンタにはやらねえ」の返事が「金の髪は、綺麗」なのだろうか?それは会話として成立しないのではないのだろうか、と。
困惑して、一端先ほどまでの勢いがなくなり、そして気がついた。
――オ、オレは今何を口走った……?
皆が見ている中での大告白ではないのだろうかこれは。
ちらりと、背後に視線を流せば、うれしい顔をしていいのかどうなのかと、実に微妙な顔つきになって口元をひくつかせているロイがいて。
更に探れば「あーあ、空気読めよ兄さん……」とため息をつくアルフォンスが見える。
――ど、わあああああああああ……っ!
叫ぶ。
叫びたい。
と、魔女が手を伸ばし、エドワードの髪に触れた。
「私の髪がこんなにも綺麗でなかったから、あの人は私を捨てたのかしら……?」
「は?髪?」
「そうよ……。私と真逆ね」
かみ合わない。
とことんタイミングを崩される。
しまし、おかげでエドワードの叫びは喉の奥へと引っ込んでしまった。
すとん、と。
どこかに。
「いやオレに取っては黒い髪の方が綺麗だと思うけど」
奇妙に宙ぶらりんな気持ちのまま、エドワードは何も考えずに反射的に即座に答える。
「そう……?」
「うん」
好きだと感じた、今まさに好きだと自覚した相手の髪も黒だ。
「黒は、キレイと、オレは思う」
「……じゃあどうしてあの人は私を捨てたのかしら」
そして、これまた反射で答える。
「いや、知らねえ。わかんね。そんなの」
脳細胞を1ミリも使わずに、とにかく問いに対して反射的に答えを告げただけだった。
だって知らない男だ。
魔女の恋人など。
「どうして?」
そう問われてもわからない。
「アンタ、どうしてばっかり言うけど、わかんねえよ、自分じゃないやつの気持ちなんて」
わかりはしない。
推測、することはできるかもしれない。
しかし、何故と問われてもその答えなど知らない。
ロシュナという男はとうにこの世にいない。
とにかく、と混乱中のエドワードはこれだけは魔女に言わなければならないと短絡的に告げる。
「でも、とにかくコイツは駄目。アンタのじゃないから。オレのだから」
「どうしてよ……」
ロシュナが魔女を捨てた理由などは知らない。だが、この問には答えることができる。
エドワードは大きく息を吸い込んで、そしてその息を吐きだした。
叫びかけ、そして出せなかった驚愕も。
奇妙な落ちつきも。
何やら、通り越してエドワードの腹は据わった。
――もういっそ、開き直ってやれ。
公衆の面前で、一大告白。
ならば、きっぱりと告げてやろうじゃないか。
そうして、魔女の目をしっかりと見つめてエドワードは言った。
「コイツが好きな相手はオレで、オレが好きな相手はコイツだから。だから、悪いけど諦めて」
魔女の、呪い。
それが解けなければ死ぬ。
そして、解く方法などわからない。
ずっとそれを探って来た。
だけど、この期に及んで解き方などわからない。
だが今目の前にその元凶がいるのだ。
触れることができるほど近くに。
だったら、説得をして諦めてもらえばいい。
実に短絡的に、エドワードは考えた。
「コイツはアンタの恋人じゃない。黒い髪っつーのが同じで、名前も似てるだけ。もしかしたら外見とかも似てんのかもしれねえけど、別人。それ、理解して」
しかし、残留思念に、真っ当なことを言っても通じない。通じるはずはないのだ。
「どうして……」
疑問ばかりを口にする魔女の目がカッと見開かれた。
形相が、変わる。
魔女の身体の周囲にどす黒い靄のようなものが立ちのぼる。
魔女は、触れているエドワードの髪をわしづかみにして思いっきり引っ張った。
「うわ、」
エドワードは体勢を崩してよろけた
「どうしてよっ!なんでっ!私のどこが悪いのよっ!」
髪を振り乱しながら、恨みのこもった目でエドワードを見据える。
「貴方さえいなければ……」
マズイ、とエドワードが思った時にはもう遅かった。身体が動かない。声も出ない。
「貴方さえいなければ、今頃私はあの人と幸せになったのに……っ!」
魔女の手が、エドワードの喉に伸びる。
「……っ!」
力任せに喉を締め付けられて、目の前が暗くなる。
――あ、マズイ。オレ、ここで死ぬ……んか……?
なんとか魔女の手を引き剥がそうとするが、女性の手だとは思えないほどの、力だった。
――アンタの恋人はとっくに死んでいて、それでもってオレだってアンタの恋敵じゃない。人違いっつうか、そういうの、訳わかんなくなっている状態なんだろうけど、アンタ目を覚ませよ。
そう胸の内だけで文句は言うが、首を絞められていれば声など出ない。
魔女の手から逃れようとしてももうすでに、抵抗する力もなかった。
「私のどこがいけないのよ。貴方が貴方が貴方が悪いのよっ!私のどこが悪いって言うの―――っ!!」
そして、その魔女の叫びが聞こえたのを最後に、エドワードは意識を失った。
否、言えなかった。
奇妙な静寂の中、魔女がエドワードを見る。
「貴方の、金の髪は、綺麗ね……」
寂しげに、目を細めて。
「は?」
突然の言にエドワードは困惑した。
「コイツはオレのだ、アンタにはやらねえ」の返事が「金の髪は、綺麗」なのだろうか?それは会話として成立しないのではないのだろうか、と。
困惑して、一端先ほどまでの勢いがなくなり、そして気がついた。
――オ、オレは今何を口走った……?
皆が見ている中での大告白ではないのだろうかこれは。
ちらりと、背後に視線を流せば、うれしい顔をしていいのかどうなのかと、実に微妙な顔つきになって口元をひくつかせているロイがいて。
更に探れば「あーあ、空気読めよ兄さん……」とため息をつくアルフォンスが見える。
――ど、わあああああああああ……っ!
叫ぶ。
叫びたい。
と、魔女が手を伸ばし、エドワードの髪に触れた。
「私の髪がこんなにも綺麗でなかったから、あの人は私を捨てたのかしら……?」
「は?髪?」
「そうよ……。私と真逆ね」
かみ合わない。
とことんタイミングを崩される。
しまし、おかげでエドワードの叫びは喉の奥へと引っ込んでしまった。
すとん、と。
どこかに。
「いやオレに取っては黒い髪の方が綺麗だと思うけど」
奇妙に宙ぶらりんな気持ちのまま、エドワードは何も考えずに反射的に即座に答える。
「そう……?」
「うん」
好きだと感じた、今まさに好きだと自覚した相手の髪も黒だ。
「黒は、キレイと、オレは思う」
「……じゃあどうしてあの人は私を捨てたのかしら」
そして、これまた反射で答える。
「いや、知らねえ。わかんね。そんなの」
脳細胞を1ミリも使わずに、とにかく問いに対して反射的に答えを告げただけだった。
だって知らない男だ。
魔女の恋人など。
「どうして?」
そう問われてもわからない。
「アンタ、どうしてばっかり言うけど、わかんねえよ、自分じゃないやつの気持ちなんて」
わかりはしない。
推測、することはできるかもしれない。
しかし、何故と問われてもその答えなど知らない。
ロシュナという男はとうにこの世にいない。
とにかく、と混乱中のエドワードはこれだけは魔女に言わなければならないと短絡的に告げる。
「でも、とにかくコイツは駄目。アンタのじゃないから。オレのだから」
「どうしてよ……」
ロシュナが魔女を捨てた理由などは知らない。だが、この問には答えることができる。
エドワードは大きく息を吸い込んで、そしてその息を吐きだした。
叫びかけ、そして出せなかった驚愕も。
奇妙な落ちつきも。
何やら、通り越してエドワードの腹は据わった。
――もういっそ、開き直ってやれ。
公衆の面前で、一大告白。
ならば、きっぱりと告げてやろうじゃないか。
そうして、魔女の目をしっかりと見つめてエドワードは言った。
「コイツが好きな相手はオレで、オレが好きな相手はコイツだから。だから、悪いけど諦めて」
魔女の、呪い。
それが解けなければ死ぬ。
そして、解く方法などわからない。
ずっとそれを探って来た。
だけど、この期に及んで解き方などわからない。
だが今目の前にその元凶がいるのだ。
触れることができるほど近くに。
だったら、説得をして諦めてもらえばいい。
実に短絡的に、エドワードは考えた。
「コイツはアンタの恋人じゃない。黒い髪っつーのが同じで、名前も似てるだけ。もしかしたら外見とかも似てんのかもしれねえけど、別人。それ、理解して」
しかし、残留思念に、真っ当なことを言っても通じない。通じるはずはないのだ。
「どうして……」
疑問ばかりを口にする魔女の目がカッと見開かれた。
形相が、変わる。
魔女の身体の周囲にどす黒い靄のようなものが立ちのぼる。
魔女は、触れているエドワードの髪をわしづかみにして思いっきり引っ張った。
「うわ、」
エドワードは体勢を崩してよろけた
「どうしてよっ!なんでっ!私のどこが悪いのよっ!」
髪を振り乱しながら、恨みのこもった目でエドワードを見据える。
「貴方さえいなければ……」
マズイ、とエドワードが思った時にはもう遅かった。身体が動かない。声も出ない。
「貴方さえいなければ、今頃私はあの人と幸せになったのに……っ!」
魔女の手が、エドワードの喉に伸びる。
「……っ!」
力任せに喉を締め付けられて、目の前が暗くなる。
――あ、マズイ。オレ、ここで死ぬ……んか……?
なんとか魔女の手を引き剥がそうとするが、女性の手だとは思えないほどの、力だった。
――アンタの恋人はとっくに死んでいて、それでもってオレだってアンタの恋敵じゃない。人違いっつうか、そういうの、訳わかんなくなっている状態なんだろうけど、アンタ目を覚ませよ。
そう胸の内だけで文句は言うが、首を絞められていれば声など出ない。
魔女の手から逃れようとしてももうすでに、抵抗する力もなかった。
「私のどこがいけないのよ。貴方が貴方が貴方が悪いのよっ!私のどこが悪いって言うの―――っ!!」
そして、その魔女の叫びが聞こえたのを最後に、エドワードは意識を失った。
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