小説・2
BL二次創作&創作。18歳未満の方はお戻りください。無断転載厳禁です。
「ラフィーナはさ、『何故』ってばっかり聞くけどさ。答られる人なんてもう居ないんだ」
ゆっくりゆっくりと、エドワードは語る。
「……私が殺してしまったから?」
エドワードは首を横に振った。
「オレは……恋愛とかそういう経験無いに等しいけど。だから、これはオレの勝手な意見かもだけど……。でも、さ。好きな人がいて、でも別の人を好きになったなんてそんな理由、誰にも、もしかしたら本人にもホントのところはわかんねーんじゃないかと思う。逆も、そうだろ?今までなんとも思わなかった相手を、好きになる。そんな理由、いくら考えてもわかんねえ。きっかけとかあったのかもしれないし。積み重ねてきたものがある日膨れ上がって気持ちが溢れるみたいだとか……。後から理屈をつけることは出来るかもだけど、そんな理屈は、気持ちを100パーセント、全部表すことにはなんねえし。理屈とかじゃ言えないこととかもきっとある。……多分、だけどさ」
ラフィーナは不満そうに唇を歪める。
何故自分では駄目なのか。
何故、恋人が別の人間を選んだのか。
知りたくて知りたくて堪らない。
何がいけなかったのか。どこかでやりなすことは出来なかったのか。
どうして、こんなことになったのか。
答えを求めて求めて。
答えなどない答えを、どうしても知りたくて。彷徨うしか無くて。
何人も何人も何人もの相手に疑問を投げて。
答えられないのなら、いっそ居なくなればいいのにと、呪いの感情を振りまき続けて。
そうして、何もわからなくなった。
今までどのくらいの無関係の相手を死なせてきたのか。
もう自分でも、どうしたらいいのかわからない。
ただ、幸せになりたかっただけなのに。
好きな人に好きだとずっと思っていて欲しかっただけなのに。
たったそれだけがどうして叶わないのか。
自分が得るはずだった幸せを、他人が得てしまう。
憎み、恨む。
黒い気持ちに心が塗りつぶされる。
そんなものを、望んではいないのに。
突然すぎる。
不条理だ。
ならばせめて理由くらい聞かせて欲しい。納得させて欲しい。
理由などわからない?
では、この真っ黒になった心をどうすればいいの。
自分を捨てて幸せになる姿をただじっと黙って見続けていろというのか。
どうして自分だけ。
何が悪いというのか。何がいけなかったのか。
唇を、噛む。
エドワードはそんなラフィーナにゆっくりゆっくり語りかける。
通じるだろうか?
分かってもらえるだろうか?
それもわからない。
エドワードは自身に振りかけられた呪いのことなど忘れていた。
ただ、今の自分が相手にできることは何か。言えることは何か、それだけを考えていた。
そして、その心が通じればいいと。
だから目を逸らさずに、告げる。
「ただ、オレが言えることが一つだけある」
きっと、望んだとおりの答えではないだろう。
今から言うのは彼女が聞きたい言葉ではなく別の言葉。
エドワードが言えるのはただこれだけ。
ラフィーナはエドワードを見る。ゆるぎない心で真っ直ぐに。
「ラフィーナは、悪くない」
はっきりと告げる。
「恋人と別れたとか振られたとか……そういうのに悪いとか良いとかはない。アンタのせいじゃない。悪いのはアンタじゃない」
繰り返す。
可哀想だと同情することではなく。
傷を負った相手に自分ができること。
それはきっと、相手を許すことなのではないだろうか。
それしかエドワードには思いつけなかった。
できること。
今の自分ができること。
それを、する。
自分に振りかかった呪いを解いて欲しいのではなく。
相手を、苦しんでいる相手をそのままにしておきたくはないから。
「悪く……ない、の?私が悪いから、悪い所を直せばきっとあの人も私の元に帰ってくるって……。だから、どうにかやりなおしたくて、」
「ごめん、多分それもう無理」
「……私が、あの人を殺してしまったから?」
「いや、違う。生きてたところできっとやり直すことなんでできないと思う。変わっちまった気持ちを元に戻そうなんてきっと……。なあ、過去に戻って成り直すことがもしできるとしたら、現在の自分は変わってると思うか?オレは、さ。何度過去に戻っても同じことを繰り返すと思う。だってさ、自分の性格とか自分の選択とかって過去に戻ったからって変わるわけじゃない。オレはオレ。何度繰り返してもオレでしかない。だから、もう過去はやり直せない。……嫌でも、苦しくても。その苦しさの上に今の自分は居るんだと思う」
「だったら、もう……どうしようもないじゃない……」
苦しい気持ちを抱いて。
真っ黒な呪いを吐くだけの存在になる。
そのまま変わらず、変われもせずに。
暗い闇の中。どうしてと答えのない問いを繰り返す。
そうして無関係な誰かを殺し呪う魔女になる。
「どうしようもなくねえよ。過去は変えられないけど今から、この先の未来はいくらでも変えられるだろ?」
「え……」
エドワードはふっと笑った。今まで告げた言葉が少しだけ気恥ずかしくなったのだ。
なんか、すげー偉そうだな。こんなこと言えるくらいの器とかオレにはないのかもだけど。
こんな小僧に言われても、通じないかも知れないけど。
今できること。自分が。誰かのために。
できることを、する。
暗い闇の中には居て欲しくないから。
自分も、魔女も。他の皆誰も。
リゼンブールで、のんびりと、小さな世界で暮らしていたころは。
辛さも苦しさも何もない。
穏やかに笑って。
波も立たずに。
幸せが幸せだと気がつかないほどに穏やかな日々。
けれど、それが誰もが望んでいることではないのだろうか。
笑って、過ごす。
大事な人の傍で。
それだけで十分すぎるほどの幸せだ。
けれど、それは、掌の隙間から容易に零れ落ちてしまう。
笑顔ではなく泣き顔になる。
穏やかな気持ちは闇に染まる。
あっという間に。
反転する世界。
白は黒に容易に変わる。
黒にとらわれて、白を忘れる。
なあ、でもさ。黒くなってもまた白に戻せばいいだろう?そのための努力ってやつ出来るだろ?
過去ではなく、これからの未来を。
なあ、アンタもオレも変えようよ。
エドワードだって思うのだ。
過去を変えらえるのなら。きっとロイとの出会いをやり直す。
今は、ロイに恋をしてしまったと自覚している。
出会ったばかりの頃はそんなこと欠片も思いもしなかった。足蹴にすらした。
好きになってから、そんな出会いのことを思い出し、少々頭を抱えた。
どうせ、好きになるなら初めから一目惚れでも出来ればよかったのに。
何をいまさら、と。
今更好きだと告げてどうする、と。
今更、ではないんだと。
今からでも遅くはない。
拙い自分が言えることはこれだけしかない。
だから、それを心からのせい一杯で告げる。
エドワードはラフィーナの目をしっかり捉えて、まっすぐに。
「過去はやり直せない。だからもう過去のまちがいばっかりに目をやるなよ。いいか、もう一度言う。アンタは悪くない。悪くないんだ。過去の自分の過ちをちゃんと赦して前に進めよ」
闇に、沈んだままでいないで前へ。
ゆっくりゆっくりと、エドワードは語る。
「……私が殺してしまったから?」
エドワードは首を横に振った。
「オレは……恋愛とかそういう経験無いに等しいけど。だから、これはオレの勝手な意見かもだけど……。でも、さ。好きな人がいて、でも別の人を好きになったなんてそんな理由、誰にも、もしかしたら本人にもホントのところはわかんねーんじゃないかと思う。逆も、そうだろ?今までなんとも思わなかった相手を、好きになる。そんな理由、いくら考えてもわかんねえ。きっかけとかあったのかもしれないし。積み重ねてきたものがある日膨れ上がって気持ちが溢れるみたいだとか……。後から理屈をつけることは出来るかもだけど、そんな理屈は、気持ちを100パーセント、全部表すことにはなんねえし。理屈とかじゃ言えないこととかもきっとある。……多分、だけどさ」
ラフィーナは不満そうに唇を歪める。
何故自分では駄目なのか。
何故、恋人が別の人間を選んだのか。
知りたくて知りたくて堪らない。
何がいけなかったのか。どこかでやりなすことは出来なかったのか。
どうして、こんなことになったのか。
答えを求めて求めて。
答えなどない答えを、どうしても知りたくて。彷徨うしか無くて。
何人も何人も何人もの相手に疑問を投げて。
答えられないのなら、いっそ居なくなればいいのにと、呪いの感情を振りまき続けて。
そうして、何もわからなくなった。
今までどのくらいの無関係の相手を死なせてきたのか。
もう自分でも、どうしたらいいのかわからない。
ただ、幸せになりたかっただけなのに。
好きな人に好きだとずっと思っていて欲しかっただけなのに。
たったそれだけがどうして叶わないのか。
自分が得るはずだった幸せを、他人が得てしまう。
憎み、恨む。
黒い気持ちに心が塗りつぶされる。
そんなものを、望んではいないのに。
突然すぎる。
不条理だ。
ならばせめて理由くらい聞かせて欲しい。納得させて欲しい。
理由などわからない?
では、この真っ黒になった心をどうすればいいの。
自分を捨てて幸せになる姿をただじっと黙って見続けていろというのか。
どうして自分だけ。
何が悪いというのか。何がいけなかったのか。
唇を、噛む。
エドワードはそんなラフィーナにゆっくりゆっくり語りかける。
通じるだろうか?
分かってもらえるだろうか?
それもわからない。
エドワードは自身に振りかけられた呪いのことなど忘れていた。
ただ、今の自分が相手にできることは何か。言えることは何か、それだけを考えていた。
そして、その心が通じればいいと。
だから目を逸らさずに、告げる。
「ただ、オレが言えることが一つだけある」
きっと、望んだとおりの答えではないだろう。
今から言うのは彼女が聞きたい言葉ではなく別の言葉。
エドワードが言えるのはただこれだけ。
ラフィーナはエドワードを見る。ゆるぎない心で真っ直ぐに。
「ラフィーナは、悪くない」
はっきりと告げる。
「恋人と別れたとか振られたとか……そういうのに悪いとか良いとかはない。アンタのせいじゃない。悪いのはアンタじゃない」
繰り返す。
可哀想だと同情することではなく。
傷を負った相手に自分ができること。
それはきっと、相手を許すことなのではないだろうか。
それしかエドワードには思いつけなかった。
できること。
今の自分ができること。
それを、する。
自分に振りかかった呪いを解いて欲しいのではなく。
相手を、苦しんでいる相手をそのままにしておきたくはないから。
「悪く……ない、の?私が悪いから、悪い所を直せばきっとあの人も私の元に帰ってくるって……。だから、どうにかやりなおしたくて、」
「ごめん、多分それもう無理」
「……私が、あの人を殺してしまったから?」
「いや、違う。生きてたところできっとやり直すことなんでできないと思う。変わっちまった気持ちを元に戻そうなんてきっと……。なあ、過去に戻って成り直すことがもしできるとしたら、現在の自分は変わってると思うか?オレは、さ。何度過去に戻っても同じことを繰り返すと思う。だってさ、自分の性格とか自分の選択とかって過去に戻ったからって変わるわけじゃない。オレはオレ。何度繰り返してもオレでしかない。だから、もう過去はやり直せない。……嫌でも、苦しくても。その苦しさの上に今の自分は居るんだと思う」
「だったら、もう……どうしようもないじゃない……」
苦しい気持ちを抱いて。
真っ黒な呪いを吐くだけの存在になる。
そのまま変わらず、変われもせずに。
暗い闇の中。どうしてと答えのない問いを繰り返す。
そうして無関係な誰かを殺し呪う魔女になる。
「どうしようもなくねえよ。過去は変えられないけど今から、この先の未来はいくらでも変えられるだろ?」
「え……」
エドワードはふっと笑った。今まで告げた言葉が少しだけ気恥ずかしくなったのだ。
なんか、すげー偉そうだな。こんなこと言えるくらいの器とかオレにはないのかもだけど。
こんな小僧に言われても、通じないかも知れないけど。
今できること。自分が。誰かのために。
できることを、する。
暗い闇の中には居て欲しくないから。
自分も、魔女も。他の皆誰も。
リゼンブールで、のんびりと、小さな世界で暮らしていたころは。
辛さも苦しさも何もない。
穏やかに笑って。
波も立たずに。
幸せが幸せだと気がつかないほどに穏やかな日々。
けれど、それが誰もが望んでいることではないのだろうか。
笑って、過ごす。
大事な人の傍で。
それだけで十分すぎるほどの幸せだ。
けれど、それは、掌の隙間から容易に零れ落ちてしまう。
笑顔ではなく泣き顔になる。
穏やかな気持ちは闇に染まる。
あっという間に。
反転する世界。
白は黒に容易に変わる。
黒にとらわれて、白を忘れる。
なあ、でもさ。黒くなってもまた白に戻せばいいだろう?そのための努力ってやつ出来るだろ?
過去ではなく、これからの未来を。
なあ、アンタもオレも変えようよ。
エドワードだって思うのだ。
過去を変えらえるのなら。きっとロイとの出会いをやり直す。
今は、ロイに恋をしてしまったと自覚している。
出会ったばかりの頃はそんなこと欠片も思いもしなかった。足蹴にすらした。
好きになってから、そんな出会いのことを思い出し、少々頭を抱えた。
どうせ、好きになるなら初めから一目惚れでも出来ればよかったのに。
何をいまさら、と。
今更好きだと告げてどうする、と。
今更、ではないんだと。
今からでも遅くはない。
拙い自分が言えることはこれだけしかない。
だから、それを心からのせい一杯で告げる。
エドワードはラフィーナの目をしっかり捉えて、まっすぐに。
「過去はやり直せない。だからもう過去のまちがいばっかりに目をやるなよ。いいか、もう一度言う。アンタは悪くない。悪くないんだ。過去の自分の過ちをちゃんと赦して前に進めよ」
闇に、沈んだままでいないで前へ。
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