小説・2
BL二次創作&創作。18歳未満の方はお戻りください。無断転載厳禁です。
「ちょちょちょちょ待て離せえええええええ」
「断る」
がっしりと抱きしめられてエドワードはじたばたと抵抗をする。
が、ロイの腕の中にすっぽりとはまってしまい、抜け出すことが出来ない。
「ひ、ひとまえっ!みんないるところでアンタ何をっ!」
ひいひいと叫びをあげるがロイは全く聞いていない。
「はーなーせえええええええ」
叫ぶが、しかし、それだけだ。
エドワードが全力で抵抗すれば、ロイの腕の中から抜け出せるはずだ。だが、思うように腕に力が入らない。顔が熱く火照る。その上、腕の中の熱さを心の底から嫌がってはいない。むしろ……、と考えてぶんぶんと首を横に振る。
「ああ、そうか。二人きりの時なら抱きしめても構わないのだね?」
エドワードの心を見透かすようにロイが言う。
「ち、ちちちちが……」
違うとも違わないとも続けられずに、エドワードの口はやはりぱくぱくと無意味に動く。
そんな二人の様子を横眼でちらりと見ただけでホークアイは実に簡潔に、言った。
「撤収」
ハボック以下、ロイの部下たちは「はっ!」と声を揃え、ホークアイの後についてその場から立ち去ってしまった。
残されたのは、エドワードとロイと……、「僕も一緒に帰りたいんですけど」と思いながらもカードを繰り続けているため、去ることも出来ずにいるアルフォンスだけだった。
仕方なしに、心の視界からロイとエドワードを消し去り、アルフォンスは必死にカードを捲る。
捲るが、そのカードが伝えてくる未来もあっさりと読みとり終えてしまう。エドワード達に向かわざるを得なかった。
「ええと……、結果は、後でお伝えしてボクは去ったほうがいいですよね?」
寧ろそうして欲しいとばかりに一歩二歩三歩、とアルフォンスは後ずさる。
が、「あるうううううううううっ!」と死にそうな声を出すエドワードにため息を吐いて留まった。
馬にけられて死ぬというのはボクの主義に反するんだけど、と思いながらもちらりとロイを見る。
ロイは仕方ないとばかりにエドワードから手を離す。すると、脱兎のごとく、エドワードはアルフォンスの背中に隠れた。
顔が真っ赤で。
息もきらして。
しかし、嫌がっている素振りは見えない。
「あーあ、」とアルフォンスは息を吐く。こうなればさっさと言うべきことを言って、そして後は兄さんなど殿下に投げつけて後はどうとでもしてくれ、とめんどくさそうに告げる。
「ええと、占いの結果ですね。魔女の呪いはもうないです。ボクも兄さんも死なない。以上終わりでいい?」
そうして去ろうとするアルフォンスをエドワードが引き止める。
「ちょっと待て、死なないのはいいけど、それで終わりでいーわけねえだろ。説明してくれ説明をっ!細かいところってどーなって、」
アルフォンスを引き留めるためか、それとも本当に様々細々としたところまで突き詰めて知りたいのか。
エドワードはとにかくアルフォンスの背中にしがみ付き続ける。
アルフォンスは、もうどうでもいっか―、とばかりに空を見上げる。
雲がぽっかり浮かんでよく晴れている。
あの空の向こうにもう魔女は行ってしまったのかな?どうせ昇天するのなら、あれこれちゃんとウチのにーさんに説明してから行ってくれればよかったのに……。
と、少々めんどくさくなったアルフォンスだった。
「何細かいところって。兄さんと殿下が結ばれるかどうかって、そういう未来まで占えって?」
「ちっげーーーーーーっ!色々あんじゃねえかよ。そもそも認めてねえけどオレとあるが実は女だったとか、なんでオレとアルの運命の相手ってのが両方ともアイツとか色々色々あんだろおおおおおお」
「ああ、そんな瑣末どーでもいいじゃない」
「よくねえよぉぉおおおお」
アルフォンスがこの場から立ち去るのがよくないのか。
それとも、本当に魔女によって受けたあれやこれやの結末が知りたいのか。
とりあえず、面倒だからどっちでもいいけどさっさと言うだけ言って、そうしてこの場を立ち去ろうと決めたアルフォンスだった。
「じゃ、手短に言うけど」
息を吸って、できる限り早口でアルフォンスは答えた。
「元々ボク達は女性として生まれるはずだったけど、それを歪めたのは魔女で、その魔女がボク達の性別を元に戻さないまま昇天した。だから現状維持というかまあ放置状態で一応ボク達の体は男のままみたいだよっていうのは単なるボクの予測でしかないけど。まあ今でも男の体だし、そのうちゆっくりと女の人の身体になる可能性も無きにしも非ずだけど、そこまではボクのカードじゃわからない。だからそうなったらそうなったでしかたがないんじゃない?」
「え……」
「あと運命の相手の話だよね、っていうか兄さんが気にしているのは寧ろこっちだろ?殿下と兄さんが運命の相手、これはいいよね?」
「よくねえっ」
「はいはいはいはい、そーゆー照れはどうでもいいから。問題はボクの運命の相手も殿下だってことだろ?兄さんそれ気にしてるんでしょ?」
うっ、と息を詰まらせたエドワードだった。
確かに、心魅かれている。好きだ、とわかった。
けれど、エドワードはアルフォンスも大事なのだ。
アルフォンスの運命の相手がロイであるのならば。
どうすればいいのかまったくわからない。
「気にすることないよ。だってボク、殿下にこれっぽっちも恋愛感情持ってないもん」
さらり、とアルフォンスが言った。
「だってお前のカードは……」
「うん、見える未来に関しては、運命は確定しているようなもんだけど。だけどそれがどうしたのさ」
「へ?」
「カードに運命を告げられた。じゃあ受け入れる。でも受け入れないで別の道を模索する。どっちのありでしょうそんなの」
「だって、オマエ……。そうだよ母さんだって、運命を変えるのは無理だって言ってたじゃねえかよ」
「違うよ兄さん。よく思い出して。難しいけど不可能じゃないとも言ってたでしょ。『兄さんの運命の相手は殿下で、殿下と結ばれなければボク達は死ぬ』それが、カードが示した元々の運命だけど、兄さんはその運命に逆らって、この国まで来たんでしょう?それで、あの魔女だってさ、かけた呪いを解除して天に召された……のかはホントのところわからないけど、まあ、昇天したとか成仏したとかそういう言葉で表わされる状態でしょ?それ、兄さんが運命を変えたと言ってもいーんじゃないの?変えた結果、ボク達は生きている」
「運命を変えた……」
「うん。カードの運命通りに生きるのもいいけどね。変えられるものだし。そりゃあものすごーーーーーーーく確率は低いけど、変えられないもんじゃないし。現状、ボクも兄さんも死ぬ気配なんてない。生きてるでしょ。リゼンブールで母さんも言ってたじゃない。些細なことで運命は変わる可能性もあるってさ」
「あ……」
確かに記憶にある。
リゼンブールで、あの時。
そう、あの時のロイは『抗え』言った。
ロイの言葉が蘇る。
――運命に抗って、望む未来を手にすればいい。……戦って勝つというのは私の得意技でね。君はどうするね?失敗前提で私に抱かれてみるか、それとも私と共に運命に抗ってみせるか。
そうだ、あの時にはロイを好きになるなんて思わなかった。そうして自分で言ったのだ。
『やってやる。運命なんかに抗って、そんでもってオレもアルも男のまま、このままで、すっげえ長生きする未来掴んでやる』と。
その未来を手にした今、何を戸惑うことがあるのか。
上手に、手際よく。望みを果たせたわけではない。
模索して、そして自分ができることをしただけ。
それだけ。
それしか出来なかった。
本当に、自分が行ったこと、言った言葉、それで正しかったのかどうかわからない。
運がよかっただけなのかもしれない。
望む結果が運よく掌の中に転がり込んできただけで、本当な何もできなかったのかもしれない。
けれど、ラフィーナは最後には笑った。泣き笑いのような顔だったけれど。
エドワードは、アルフォンスにしがみ付いていた自分の腕を離した。
そうして、じっと自分の手を見る。
この手の、指の先に触れたラフーナの光。淡い、蛍のようなきれいな光。
――あれが、もしかしたら、オレの望みを叶えてくれたのかもしれない……。
本当のところはわからない。
自分の力で運命を捻じ曲げたのか。
魔女が、呪いを消してくれたのか。
確かのことは何一つ。
だけど。
運命なんかに振りまわされない。自分の未来は自分で決める。そう、ロイに告げたのはエドワード自身だったのだ。
エドワードは自身を落ち着かせるように息を深く吸い込んだ。
――オレが、コイツを好きになったのは……運命だからとかじゃない。
ロイを、見る。
――最初は好きなんかじゃなかった。運命の相手とか言われてもふざけるなとか思った。
じっと、深く。ロイは黙ったままエドワードの視線を受け止めた。
――運命で、決められるんじゃない。オレはオレの意志で。
ロイを好きになったのだ。
ならば、それだけでいいのだ。
カードや運命に振りまわされることなどない。
単純で明快な、事実。
――オレは、コイツが好きだ。
「断る」
がっしりと抱きしめられてエドワードはじたばたと抵抗をする。
が、ロイの腕の中にすっぽりとはまってしまい、抜け出すことが出来ない。
「ひ、ひとまえっ!みんないるところでアンタ何をっ!」
ひいひいと叫びをあげるがロイは全く聞いていない。
「はーなーせえええええええ」
叫ぶが、しかし、それだけだ。
エドワードが全力で抵抗すれば、ロイの腕の中から抜け出せるはずだ。だが、思うように腕に力が入らない。顔が熱く火照る。その上、腕の中の熱さを心の底から嫌がってはいない。むしろ……、と考えてぶんぶんと首を横に振る。
「ああ、そうか。二人きりの時なら抱きしめても構わないのだね?」
エドワードの心を見透かすようにロイが言う。
「ち、ちちちちが……」
違うとも違わないとも続けられずに、エドワードの口はやはりぱくぱくと無意味に動く。
そんな二人の様子を横眼でちらりと見ただけでホークアイは実に簡潔に、言った。
「撤収」
ハボック以下、ロイの部下たちは「はっ!」と声を揃え、ホークアイの後についてその場から立ち去ってしまった。
残されたのは、エドワードとロイと……、「僕も一緒に帰りたいんですけど」と思いながらもカードを繰り続けているため、去ることも出来ずにいるアルフォンスだけだった。
仕方なしに、心の視界からロイとエドワードを消し去り、アルフォンスは必死にカードを捲る。
捲るが、そのカードが伝えてくる未来もあっさりと読みとり終えてしまう。エドワード達に向かわざるを得なかった。
「ええと……、結果は、後でお伝えしてボクは去ったほうがいいですよね?」
寧ろそうして欲しいとばかりに一歩二歩三歩、とアルフォンスは後ずさる。
が、「あるうううううううううっ!」と死にそうな声を出すエドワードにため息を吐いて留まった。
馬にけられて死ぬというのはボクの主義に反するんだけど、と思いながらもちらりとロイを見る。
ロイは仕方ないとばかりにエドワードから手を離す。すると、脱兎のごとく、エドワードはアルフォンスの背中に隠れた。
顔が真っ赤で。
息もきらして。
しかし、嫌がっている素振りは見えない。
「あーあ、」とアルフォンスは息を吐く。こうなればさっさと言うべきことを言って、そして後は兄さんなど殿下に投げつけて後はどうとでもしてくれ、とめんどくさそうに告げる。
「ええと、占いの結果ですね。魔女の呪いはもうないです。ボクも兄さんも死なない。以上終わりでいい?」
そうして去ろうとするアルフォンスをエドワードが引き止める。
「ちょっと待て、死なないのはいいけど、それで終わりでいーわけねえだろ。説明してくれ説明をっ!細かいところってどーなって、」
アルフォンスを引き留めるためか、それとも本当に様々細々としたところまで突き詰めて知りたいのか。
エドワードはとにかくアルフォンスの背中にしがみ付き続ける。
アルフォンスは、もうどうでもいっか―、とばかりに空を見上げる。
雲がぽっかり浮かんでよく晴れている。
あの空の向こうにもう魔女は行ってしまったのかな?どうせ昇天するのなら、あれこれちゃんとウチのにーさんに説明してから行ってくれればよかったのに……。
と、少々めんどくさくなったアルフォンスだった。
「何細かいところって。兄さんと殿下が結ばれるかどうかって、そういう未来まで占えって?」
「ちっげーーーーーーっ!色々あんじゃねえかよ。そもそも認めてねえけどオレとあるが実は女だったとか、なんでオレとアルの運命の相手ってのが両方ともアイツとか色々色々あんだろおおおおおお」
「ああ、そんな瑣末どーでもいいじゃない」
「よくねえよぉぉおおおお」
アルフォンスがこの場から立ち去るのがよくないのか。
それとも、本当に魔女によって受けたあれやこれやの結末が知りたいのか。
とりあえず、面倒だからどっちでもいいけどさっさと言うだけ言って、そうしてこの場を立ち去ろうと決めたアルフォンスだった。
「じゃ、手短に言うけど」
息を吸って、できる限り早口でアルフォンスは答えた。
「元々ボク達は女性として生まれるはずだったけど、それを歪めたのは魔女で、その魔女がボク達の性別を元に戻さないまま昇天した。だから現状維持というかまあ放置状態で一応ボク達の体は男のままみたいだよっていうのは単なるボクの予測でしかないけど。まあ今でも男の体だし、そのうちゆっくりと女の人の身体になる可能性も無きにしも非ずだけど、そこまではボクのカードじゃわからない。だからそうなったらそうなったでしかたがないんじゃない?」
「え……」
「あと運命の相手の話だよね、っていうか兄さんが気にしているのは寧ろこっちだろ?殿下と兄さんが運命の相手、これはいいよね?」
「よくねえっ」
「はいはいはいはい、そーゆー照れはどうでもいいから。問題はボクの運命の相手も殿下だってことだろ?兄さんそれ気にしてるんでしょ?」
うっ、と息を詰まらせたエドワードだった。
確かに、心魅かれている。好きだ、とわかった。
けれど、エドワードはアルフォンスも大事なのだ。
アルフォンスの運命の相手がロイであるのならば。
どうすればいいのかまったくわからない。
「気にすることないよ。だってボク、殿下にこれっぽっちも恋愛感情持ってないもん」
さらり、とアルフォンスが言った。
「だってお前のカードは……」
「うん、見える未来に関しては、運命は確定しているようなもんだけど。だけどそれがどうしたのさ」
「へ?」
「カードに運命を告げられた。じゃあ受け入れる。でも受け入れないで別の道を模索する。どっちのありでしょうそんなの」
「だって、オマエ……。そうだよ母さんだって、運命を変えるのは無理だって言ってたじゃねえかよ」
「違うよ兄さん。よく思い出して。難しいけど不可能じゃないとも言ってたでしょ。『兄さんの運命の相手は殿下で、殿下と結ばれなければボク達は死ぬ』それが、カードが示した元々の運命だけど、兄さんはその運命に逆らって、この国まで来たんでしょう?それで、あの魔女だってさ、かけた呪いを解除して天に召された……のかはホントのところわからないけど、まあ、昇天したとか成仏したとかそういう言葉で表わされる状態でしょ?それ、兄さんが運命を変えたと言ってもいーんじゃないの?変えた結果、ボク達は生きている」
「運命を変えた……」
「うん。カードの運命通りに生きるのもいいけどね。変えられるものだし。そりゃあものすごーーーーーーーく確率は低いけど、変えられないもんじゃないし。現状、ボクも兄さんも死ぬ気配なんてない。生きてるでしょ。リゼンブールで母さんも言ってたじゃない。些細なことで運命は変わる可能性もあるってさ」
「あ……」
確かに記憶にある。
リゼンブールで、あの時。
そう、あの時のロイは『抗え』言った。
ロイの言葉が蘇る。
――運命に抗って、望む未来を手にすればいい。……戦って勝つというのは私の得意技でね。君はどうするね?失敗前提で私に抱かれてみるか、それとも私と共に運命に抗ってみせるか。
そうだ、あの時にはロイを好きになるなんて思わなかった。そうして自分で言ったのだ。
『やってやる。運命なんかに抗って、そんでもってオレもアルも男のまま、このままで、すっげえ長生きする未来掴んでやる』と。
その未来を手にした今、何を戸惑うことがあるのか。
上手に、手際よく。望みを果たせたわけではない。
模索して、そして自分ができることをしただけ。
それだけ。
それしか出来なかった。
本当に、自分が行ったこと、言った言葉、それで正しかったのかどうかわからない。
運がよかっただけなのかもしれない。
望む結果が運よく掌の中に転がり込んできただけで、本当な何もできなかったのかもしれない。
けれど、ラフィーナは最後には笑った。泣き笑いのような顔だったけれど。
エドワードは、アルフォンスにしがみ付いていた自分の腕を離した。
そうして、じっと自分の手を見る。
この手の、指の先に触れたラフーナの光。淡い、蛍のようなきれいな光。
――あれが、もしかしたら、オレの望みを叶えてくれたのかもしれない……。
本当のところはわからない。
自分の力で運命を捻じ曲げたのか。
魔女が、呪いを消してくれたのか。
確かのことは何一つ。
だけど。
運命なんかに振りまわされない。自分の未来は自分で決める。そう、ロイに告げたのはエドワード自身だったのだ。
エドワードは自身を落ち着かせるように息を深く吸い込んだ。
――オレが、コイツを好きになったのは……運命だからとかじゃない。
ロイを、見る。
――最初は好きなんかじゃなかった。運命の相手とか言われてもふざけるなとか思った。
じっと、深く。ロイは黙ったままエドワードの視線を受け止めた。
――運命で、決められるんじゃない。オレはオレの意志で。
ロイを好きになったのだ。
ならば、それだけでいいのだ。
カードや運命に振りまわされることなどない。
単純で明快な、事実。
――オレは、コイツが好きだ。
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