小説・2

BL二次創作&創作。18歳未満の方はお戻りください。無断転載厳禁です。

そうして、結局頼りになるのはホークアイ大明神とばかりに、東邦司令部に出向いたエドワードとアルフォンスである。
「こんちはー、ホークアイ中尉」
いつもの司令室には当然のことながら、ロイは不在であった。が、緊迫した空気は何もない。いつも通りにホークアイがテキパキと己の職務をこなしている。ハボックは遅い昼食なのか、コーヒーをすすりつつ、ハンバーガーを口いっぱいにほおばっているところであった。
「いらっしゃい、エドワード君アルフォンス君」
にこやかに、ホークアイガ微笑めば、ハボックなども「よっ、大将。ちったー背も伸びたかあ?」などと笑う。
エドワードとアルフォンスは一瞬だけ、視線を交し合った。
(これは……大佐、死んでねえんじゃねえの?)
(なんか……予想外にいつも通りだね……)
あまりにもいつも通り過ぎて、気が抜けた。
「どうしたのエドワード君?」
「あ……、いやその……、大佐、は……」
歯切れ悪く、エドワードはとりあえず、大佐とだけ告げた。
「あらごめんなさいね。大佐は任務であと3日は連絡つかないのよ。紹介状とか、もしかしたら欲しかったのかしら?」
ぶんぶんと首を横に振るエドワードに変わって、アルフォンスが尋ねた。
「えっと……、連絡がつかないってことは……無事でいるということなんですか?」
「詳しくは言えないのだけれど、大佐自らちょっと面倒な場所に潜入捜査中なのよ。定期連絡が来るのは3日後なんだけど、その時点で司令部に戻ってこられるとは限らないのよね……。急ぎで大佐に頼みごとなら、そうね……少なくとも、大佐が司令部に戻って来てからになってしまうから、だいぶ先になってしまうのだけれども」
申し訳なさそうにホークアイが告げる。
エドワードは「あ、いや……大佐に頼みとかじゃなくて」と告げつつ、眉根を寄せた。
どうやら潜入捜査ということは確からしい。
そこで何かがロイの身にあって、このユーレイ状態になったとは推察はできた。
だが、頼みのホークアイも状況が分かっていないのであればどうしようもない。
困って、何をどう切り出したらいいのか迷ってしまう。
「あーえと。大佐に頼みじゃなくて、この大佐はなんなのかってちょっと状態が知りたくて」
と、エドワードは自身の背後にのんびりぷかぷかと浮いているロイを指さした。
しかし、ホークアイもハボックも首をかしげるだけだ。
「大将?」
「この大佐って、どうしたのエドワード君」
「だから、この、オレの背後に浮いてる大佐がなんなのかって……」
「浮いている……?どこに?誰が……?」
「へ?」
ロイを指すエドワードの指が固まった。
「だから、これですよこれ。大佐のユーレイもどき……なんですけど、えっと、ホークアイ中尉とハボック少尉には見えていないんで……すか?」
慌てて、アルフォンスがロイがいるあたりをエドワードと同じように指でさす。
しかし、ホークアイもハボックも「?」とばかりに首をかしげるのみだ。
「えっと。見えて……ない?」
『そのようだな』
うんうん、とロイは頷いた。
頷かれても困る。
頼みの綱のホークアイ、だったはずなのに。状況これっぽちも改善していないのだ。
むしろ、ホークアイに聞けば何とかなると思っていただけに、エドワードもアルフォンスもがっくりと肩を落とすしかできなかったのだ。






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