小説・2

BL二次創作&創作。18歳未満の方はお戻りください。無断転載厳禁です。
「たあああああいいいいいいいさあああああああvほれ受け取れオレ様からの愛のバレンタインチョコレートっ!!」

エドワードは執務室のドアをノックもなしに叩き破る勢いで開き、そのまま書類にサインをしているロイの膝の上に突進した。
「は、鋼の……。君の愛はたまに痛い…かな…」
思い切り飛び込んできたエドワードをそれでも何とか抱きとめると、ロイはエドワードの手にしていたチョコレートの塊を凝視した。
「チョコレート……だな、それは。しかしそれを私にどうしろと……」
困惑するのも仕方がない。
エドワードが手にしていたのはチョコはチョコでもまるで煉瓦のようなブロックの塊。
ラッピングなどされていないむき身のままのその物体は、サイズを述べるのならば、かなりでかい。
巨大、というほどのものではないが、大判の図鑑もしくは錬金術書を5・6冊積み重ねたようなサイズだった。大口を開ければ何とか端のほうから齧ることは可能であろうが、そんなことをしてみれば即座に前歯くらいは欠けそうな気がする。ううむと唸りながら、その塊を手に取れば、ずっしりとした重みが感じられた。5キロ……、いや10キロ程度はありそうだった。
食べるよりもハボックあたりに投げつける武器として使用したほうがいいのではないだろうか、などという戯言を考え、ああいやいや、これは鋼のの愛だと考え直す。
そして凝視していた塊をロイは手に取ってみた。
重い。
……これが鋼のの愛の重さというのなら受け取るのもやぶさかではないのだが・・・・・。
男らしいにもほどがあるチョコレートの塊を手にロイは、受け取ったはいいもののこの塊をどうするか少々本気で悩んでしまった。
「あー、ええと。ちょっと待ってな。今から練成すっからよ」
「うん?…・・ああ、そうか。このままではきっと硬いだろうし。小さ…、いや、薄く小分けにしてくれると食べやすいかな……」
ホッと胸をなで下したロイであった。
食えと言われれば食べられなくもない。そのうえエドワードからのバレンタインデーのチョコであるのなら是が非でも頂戴したいところであるし、5キロあろうが10キロだろうがロイひとりで完食する覚悟はあった。このままのブロック状ではかなり厳しいが、小さくもしくは薄く小分けにしてもらえれば何日、いや何年かかっても食べきることができるだろう。
「ん?薄くしてどーすんだよ?それじゃこーんなブロックの塊のまま持ってきた意味ねえだろ」
「うん?」
「これは練成して溶かす」
「……うん?」
「そしてオレ様に塗りたくるっ!」
「…………う、ん?」
オチは見えてきたな、とロイは遠くを見た。ため息もつきたくなる。
「そのオレ様を大佐は余すところなく食えるんだ!どーだすばらしいバレンタインだろうっ!」
淫行罪という単語がのしかかる。
以前からオレ様食え食え食え食えいい加減えっちの一つもかましやがれ押し倒せねえのかこの不能となじられてはいるが如何せんこの恋人はまだ16歳にもなっていない。せめてもう少し育ってからでないと、食すには問題がありすぎる。はっきり言って犯罪だ。合意だからとかそういうのは置いておいて、三十路前の男が15の子供に手を出せば、それは立派な犯罪である。児童福祉法にも違反だろう。だが、えへん、と胸を張るエドワードの期待を裏切るのもかわいそうで。
「あー、エド?」
「なあ、大佐。オレ様すげえイイコト考え付いただろー?チョコとオレ様同時に食えるぜ。さっすが天才錬金術師っ!褒め称えてくれてもかわまねえぜっ!」
こういうところはまだまだ子供なのだなあ……と少々微笑ましくも思うのだが、何せ行動力には長けた子供だ。やると言ったらやるだろう。そしてバレンタインにチョコレートと共に恋人も食せるとあっては断る理由は淫行罪だ犯罪だという以外にはなにひとつない。まあえて言うのならば初体験が普通の、ノーマルなプレイではなくいきなりチョコレートで、というのは難易度が高いというくらいであろうか?
そんなザレゴトに逃避をしている場合ではないとロイは考えを引き締める。年齢。それが最大級の問題なのだ。少なくともこの小さな恋人が成人しているのであれば、即座に自宅に連れ込んで、その望みをかなえてやれるのだが……。
期待にきらきらと瞳を輝かせるエドワードに諭すようにロイは告げた。
「せっかくの君からの申し出だが、執務室でチョコレートプレイはハードルが高い」
「へ?」
「今すぐ練成してもらいチョコを溶かして君を食したい気はあるのだが、執務室をチョコまみれにした日にはホークアイ中尉からの制裁が怖い」
「あ、ああそうだな」
「というわけで鋼の。それは夜まで待っていておいてほしい。何私の自宅ならチョコにまみれようとなんだろうと構わん。いっそチョコレート風呂にでもして君と一緒に風呂場で楽しもうか」
「あー、それもいいなあ。さすがだぜ大佐☆」
じゃー、先に大佐のうちに行ってるなー。準備万端で待ってるから早く帰ってこいよなダーリン☆とチョコレートブロックを抱え込んで走りさったエドワードにロイは重々しい溜息を吐く。


……とりあえず、イーストの酒屋にチョコレートの酒があったはずだ。それを大量に注文しよう。酔わせて潰して事なきを得よう。まあ、チョコレート風呂で遊ぶくらいなら構わんが、少なくともあと2年か3年はエドワードを喰うわけにはいかないのだ。


早く大きくなりたまえよ、とエドワードに告げたら殴られそうな言葉を胸に、今日もロイとエドワードの攻防は続く。


- 終 -




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